このページでは、遺言書作成の基礎知識から、相続トラブルを防ぐための具体的な方法まで、わかりやすく解説します。
遺言書を作成することで、ご自身の意向に沿った形で財産を相続人に分配することができ、相続トラブルを未然に防ぐことが可能になります。
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遺言書作成の基礎知識~相続トラブルを防ぐために~
自分の財産を自分の意向に基づいて次世代に継承したいと考える場合、遺言書は有効な手段となります。
しかし、正しい方法で作成されなければ、予期せぬトラブルに繋がることがあります。
遺言書には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言、遺言執行者の指定など、様々な種類が存在します。
それぞれの特徴や作成方法が異なるため、自身の状況に合わせて適切な遺言書を選ぶことが重要です。
遺言書を作成する際は、以下の点に注意が必要です。
- 遺言の内容が明確に記述されていること
- 遺言者が意思能力を備えていること
- 遺言書が法的に有効な形式で作成されていること
遺言書は、自分の意思を確実に伝えるために非常に重要な書類です。
トラブルを回避するためにも、専門家のアドバイスを受け、適切な遺言書を作成することを強く推奨します。
遺言書の法的効力と種類
亡くなった方の財産をどのように分配するかを定める遺言書は、相続に関する紛争を防ぐ重要な役割を果たします。
遺言書を作成することで、ご自身の意向に沿って財産が分配されるよう、明確に指示することができます。
遺言書には、様々な効力があり、相続に関する様々な状況に対応できます。
例えば、法定相続分とは異なる割合で財産を相続させたい場合や、特定の人に財産を相続させたくない場合などに有効です。
- 法定相続分とは異なる割合で財産を相続させたい場合
- 特定の人に財産を相続させたくない場合
- 遺産の分割方法を指定したい場合
- 法定相続人以外の人に財産を相続させたい場合
- 遺贈によって財産を寄付したい場合
遺言書は、このような様々な状況に対応できる有効な手段と言えるでしょう。
以下では、遺言書の効力について、具体的な例を挙げながら詳しく解説していきます。
相続財産の分配を明確にする「相続分の指定」
遺言書は、相続に関する意思を明確に示す重要な書類です。
この書面を作成することで、法律で定められた相続分とは異なる、独自の相続割合を指定することができます。
例えば、特定の相続人に、法定相続分よりも多くの財産を相続させたい場合や、逆に相続を制限したい場合などに有効です。
相続人の特定と権利確認「相続人の調査」
故人の出生から死亡までの戸籍謄本を調べることで、相続人の調査を実施します。
戸籍謄本を確認することで、婚外子や過去に婚姻によって生まれた子が存在することが判明する場合があります。
法定相続人を除外して遺産分割を行うと、後にトラブルが生じる可能性があります。
例えば、被相続人の遺産が3,000万円で、配偶者と子が2人いる場合を想定してみましょう。
法定相続の場合、配偶者は遺産の2分の1にあたる1,500万円を相続し、2人の子は残りの1,500万円をそれぞれ半分ずつ相続するため、1人あたり750万円を相続することになります。
しかし、被相続人が配偶者と2人の子に遺産を平等に相続させたいと考えていた場合は、3,000万円を配偶者と2人の子でそれぞれ1,000万円ずつ平等に相続させることができます。
遺産分割のルールを定める「遺産分割方法の指定」
遺言書を作成する際には、遺産の分け方を明確に定めることができます。
例えば、不動産を長男に、預貯金と現金は長女に相続させるといったように、特定の財産を誰に相続させるかを指定することができます。
さらに、土地を売却して得た金額を子ども2人で平等に分配するといった具体的な分割方法を遺言書に記載することも可能です。
このように、遺産分割方法を遺言書で指定することで、相続人の間でトラブルが発生するリスクを軽減することができます。
ただし、遺産分割方法を第三者に委託する場合は、相続人同士の意見が食い違い、トラブルに発展するケースも少なくないため、注意が必要です。
条件付きで財産を贈与する「負担付き遺贈」
亡くなった方の財産を遺言書によって特定の人や団体に贈与することを遺贈と言いますが、この遺贈に条件を付した場合、それを負担付き遺贈と呼びます。
例えば、「老後の面倒を見てくれるなら、全額預貯金を贈与する」、「住宅ローンの半分を支払ってくれるなら、自宅を贈与する」といったケースが挙げられます。
負担付き遺贈は、財産を受け取る人(受遺者)が一定の義務を負うことになる一方で、負担が過大になる場合も考えられます。
このような事態を防ぐために、受遺者を保護するためのルールが設けられています。
具体的には、受遺者が負う負担は「遺贈の目的の価額を超えない範囲」に制限され、受遺者は「負担付き遺贈自体を放棄できる」という規定があります。
法定相続人以外への財産贈与「法定相続人以外の指定」
亡くなった方の財産は、法律で定められた相続人に引き継がれます。
しかし、相続人以外の人に財産を残したい場合は、遺言書にその旨を記載することで、希望する人に財産を譲り渡すことができます。
これを遺贈と言います。
遺贈の対象となる人は、法律上の制限はありません。
たとえば、事実婚の配偶者や、長男の配偶者、長年介護をしてくれた人など、誰でも遺贈の対象となりえます。
公益団体への寄付「遺贈寄付」
亡くなった方の財産を、相続人以外の個人や団体に贈与することを遺贈寄付と呼びます。
遺贈寄付は、故人の意志を社会に役立てるための有効な手段と言えるでしょう。
例えば、国や地方自治体、認定NPO法人などへの寄付は、相続税の節税対策としても活用できます。
遺言書作成の3つの方法
遺言書には、「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3つの種類があります。
自筆証書遺言は、遺言者が遺言の内容をすべて自筆で作成し、署名と日付を記載する遺言書です。
この遺言書は、作成が容易で費用も安く、手続きも比較的簡単です。
しかし、作成に不備があると無効になる可能性があり、保管場所や偽造のリスクも懸念されます。
公正証書遺言は、公証人役場で作成する遺言書です。
遺言者は公証人に遺言の内容を伝え、公証人が作成した遺言書に遺言者が署名と押印し、公証人が証人として署名と押印します。
公正証書遺言は、公証人が作成するため、法的効力が高く、遺言の内容が明確で、偽造されるリスクも低くなります。
しかし、公証人に作成を依頼する必要があるため、自筆証書遺言と比べて費用が高く、手続きが複雑です。
秘密証書遺言は、遺言者が遺言の内容を自分で書き、封をして、それを証人に預ける遺言書です。
証人は遺言者が作成した遺言書の内容を知りません。
この遺言書は、遺言の内容を秘密にしておきたい場合に適していますが、証人が死亡したり、所在不明になったりすると、遺言書の存在が分からなくなる可能性があります。
遺言書を作成する際には、それぞれの遺言書の種類の特徴を理解し、遺言の内容や遺言者の状況に合わせて適切な遺言書を選択することが重要です。
遺言作成を検討する際には、弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。
遺言書作成で相続トラブルを防ぎましょう。
遺言書の作成は、専門知識が必要となるため、専門家にご相談されることをおすすめします。
当事務所の専門担当者は、お客様のご意向を的確に理解し、遺言書作成に関するあらゆる手続きをスムーズに進めるお手伝いをいたします。
また、遺言書の作成だけでなく、遺言書の保管や相続発生時の執行まで、トータルでサポートいたします。
相続手続きは、複雑で煩雑な手続きが数多く存在します。
当事務所の遺言信託サービスをご利用いただくことで、ご遺族の負担を軽減し、スムーズな相続を実現することができます。
遺言信託をご検討されている方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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