本記事では、相続手続きにおける司法書士と税理士の役割や違い、それぞれの専門家を選ぶポイントを解説します。
不動産の名義変更や相続税対策など、相続に関わる様々な手続きについて詳しく解説しているので、安心して任せられる専門家を見つけ、スムーズな相続手続きを実現しましょう。
後半では、専門家に依頼するメリットや費用相場、手続きの進め方についても詳しく解説します。
相続手続きをスムーズに進めたい方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
司法書士と税理士、それぞれの役割と違い
登記や供託といった手続きを専門とする司法書士は、法律に基づいた手続きの代行や、裁判所に提出する書類の作成を専門的に行います。
一方で、税務に関する業務に精通した税理士は、税務に関する相談や業務を専門的に行います。
相続に関する相談では、司法書士は相続税の申告や相談には対応できません。
一方、税理士は相続した不動産の名義変更手続きである相続登記や、裁判所に提出する書類の作成に関する依頼は受けられません。
したがって、相談内容によって、どちらの専門家に相談すべきかを判断することが重要です。
相続においては、司法書士と税理士の両方の専門的なサポートが必要となるケースも少なくありません。
それぞれの専門家が対応できる具体的な内容については、次の章で詳しく解説します。
不動産の名義変更は司法書士に任せよう
不動産を相続した際は、司法書士への相談が必須です。
相続により、亡くなった方(被相続人)から相続人の名義に変更する手続きが必要となります。
この手続きは「相続登記」と呼ばれ、令和6年4月1日より義務化されました。
令和6年4月1日以前に相続した不動産も対象となり、期限が設定されています。
そのため、いずれの場合も司法書士にご相談ください。
令和6年4月1日以降に相続した場合 | 所有権取得を知った日から3年以内 |
令和6年4月1日より前に相続した場合 | 令和9年3月31日まで |
不動産を相続し、相続税が発生する場合は、税理士への相談が不可欠です。
相続税の申告期限は、被相続人が亡くなった日の翌日から10か月以内です。
不動産の名義変更よりも先に手続きが必要となるため、早めの相談が重要です。
司法書士は、不動産の名義変更に加えて、相続放棄や限定承認、遺言書の検認など、裁判所における手続きに関する相談にも対応可能です。具体的には、以下の内容について、司法書士にご相談いただけます。
司法書士に相談可能な内容 ※税理士では対応不可 | ・不動産の名義変更(相続登記) ・相続放棄・限定承認の書類作成 ・遺言書の検認手続き |
司法書士と税理士の両方に相談可能な内容 | ・相続人 ・相続財産の調査 ・遺産分割協議書の作成 |
相続税対策は税理士が最適
相続税は、相続した財産の総額が一定の金額を超えた場合に発生する税金です。
相続税の発生は、相続した財産の総額が基礎控除額を超えているかどうかで判断されます。
基礎控除額は、3,000万円に法定相続人の数に600万円を乗じた金額を合わせたものです。
つまり、相続した財産の総額が基礎控除額を超えると、相続税の申告・納付が必要となります。
相続税の税率は、相続した財産の額によって異なります。
財産が多いほど高い税率が適用されます。
そのため、相続税を少しでも抑えるためには、専門家のアドバイスを受けることが重要です。
税理士は、相続税の申告や節税対策に関する専門知識を有していますので、相続税に関する相談は税理士に依頼することをおすすめします。
相続税の申告期限は、被相続人が亡くなった日の翌日から10か月以内です。
相続税の申告は、不動産の名義変更よりも優先して行う必要があるため、不動産を相続した場合は、まず税理士に相談し、相続税の申告手続きを進めましょう。
司法書士は、不動産の名義変更などの手続きを専門に行う専門家です。
税理士と司法書士の両方に相談することで、相続税の申告から不動産の名義変更まで、スムーズに手続きを進めることができます。
税理士に相談できる内容 ※司法書士では対応不可 | ・相続税の申告手続き ・相続税の節税対策 ・準確定申告 |
税理士と司法書士の両方に相談できる内容 | ・相続人や相続財産の調査 ・遺産分割協議書の作成 |
弁護士との違いも解説
相続問題に直面している、または将来的な問題発生のリスクがある場合、弁護士の専門的なサポートが必要となります。
税理士は、弁護士と異なり、相続人の代理人として法的な手続きや交渉を行うことはできません。
相続税が発生する場合も、トラブルを回避し解決するために、まずは弁護士にご相談することをおすすめします。
弁護士は、相続に関するあらゆる問題に対し、適切なアドバイスとサポートを提供することで、円滑な解決を導きます。
司法書士・税理士への依頼費用
司法書士や税理士に依頼する場合にかかる費用は、依頼する業務内容や案件の複雑さによって大きく変動します。
例えば、司法書士に依頼する業務には、不動産登記、商業登記、遺言書作成、相続手続きなどがあります。
税理士に依頼する業務には、税務申告、会計ソフト導入、経営相談などが挙げられます。
依頼する業務内容によって費用は大きく異なります。
例えば、不動産登記では、物件の価格や登記の種類によって費用が変わります。
商業登記では、会社の規模や登記の種類によって費用が異なります。
遺言書作成では、遺言の内容の複雑さによって費用は変動します。
相続手続きでは、相続財産の規模や相続人の数によって費用が異なる点は注意が必要です。
さらに、案件の難易度によっても費用は変動します。
例えば、不動産登記では、抵当権設定や所有権移転など、複雑な手続きが必要な場合は、費用が高くなる傾向が見られます。
商業登記では、会社設立や合併など、複雑な手続きを要する場合、費用が高くなるケースが多いです。
遺言書作成では、相続税対策など、専門的な知識が必要となる場合、費用が高くなる傾向があります。
相続手続きでは、遺産分割協議や相続税申告など、複雑な手続きを必要とする場合、費用が高くなる傾向が見られます。
司法書士や税理士に依頼する費用は、事前に見積もりを依頼することが重要です。
見積もりを依頼する際には、依頼する業務内容や案件の詳細を明確に伝えましょう。
複数名の司法書士や税理士に見積もりを依頼し、比較検討することも有効です。
司法書士や税理士の費用は、法律で定められた報酬基準に基づいて算出されます。
ただし、報酬基準はあくまで目安であり、実際の費用は司法書士や税理士によって異なります。
司法書士や税理士に依頼する費用は決して安価ではありません。
しかし、司法書士や税理士は専門知識と経験を生かし、依頼者の利益を守るために最善を尽くします。
そのため、司法書士や税理士に依頼することで、安心して手続きを進めることができます。
相続手続きは専門家に依頼すべき?
相続手続きは、故人の財産が法律に基づいて相続人に引き継がれる複雑なプロセスです。
遺産の調査、相続人の特定、遺産分割など、さまざまな手続きが必要となります。
相続手続きは、故人の意思を尊重し、相続人全員が納得できるよう円滑に進めることが重要です。
相続手続きの基本知識
- 相続とは?
相続とは、亡くなった方の財産が法律に基づいて相続人に引き継がれることです。
財産には、不動産、預金、有価証券など、さまざまなものが含まれます. - 相続人とは?
相続人は、法律で定められた親族です。
配偶者、子、親、兄弟姉妹などが相続人となります。
相続人の順位は法律で定められており、配偶者、子、親、兄弟姉妹の順に相続する権利があります。 - 遺産分割とは?
遺産分割とは、相続人が遺産をどのように分けるかを決める手続きです。
遺産分割は、相続人全員の合意に基づいて行われます。
遺産分割の方法には、協議分割、裁判による分割などがあります。
相続手続きの流れ
- 死亡届の提出
亡くなった方の死亡を役所に届け出ます。
死亡届は、死亡後7日以内に提出する必要があります。 - 相続人確定
相続人全員を特定し、相続人全員で協議を行います。
相続人の特定には、戸籍謄本や住民票などの書類が必要となります。 - 遺産の調査
亡くなった方の財産を調査します。
遺産調査には、銀行口座の残高確認、不動産の登記簿謄本取得、有価証券の確認などが必要となります。 - 遺産分割協議
相続人全員で遺産の分け方を協議します。
遺産分割協議は、相続人全員の合意に基づいて行われます。
遺産分割協議がまとまらない場合は、裁判による分割を行うこともできます。 - 相続手続き
遺産分割協議の結果に基づいて、相続登記、銀行口座の解約、不動産の名義変更などの手続きを行います。
相続手続きは、遺産の内容や手続きの複雑さによって、さまざまな手続きが必要となります。
相続手続きに関するよくある質問
- 相続手続きはどのくらい費用がかかりますか?
相続手続きにかかる費用は、遺産の内容や手続きの複雑さによって異なります。
弁護士や司法書士に依頼する場合は、着手金や報酬が発生します。
また、相続登記や不動産の名義変更など、手続きごとに費用が発生します。 - 相続手続きにはどれくらい時間がかかりますか?
相続手続きにかかる時間は、遺産の内容や手続きの複雑さ、相続人との協議状況によって異なります。
スムーズに進めば数ヶ月で完了することもありますが、複雑な手続きや相続人との協議が難航する場合は、数年かかることもあります。 - 相続手続きをスムーズに行うにはどうすればいいですか?
相続手続きをスムーズに行うには、早めの準備が大切です。
遺言書を作成しておくことで、遺産分割の争いを防ぐことができます。
また、相続人全員で話し合い、遺産分割について合意しておくことも重要です。
専門家への相談
相続手続きは複雑な手続きです。
手続きに不安がある場合は、弁護士や司法書士に相談することをおすすめします。
専門家のアドバイスを受けることで、相続手続きをスムーズに進めることができます。
あいせ税理士法人では、相続に関する様々なサポートを提供させて頂いております。
詳しくはこちらから
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相続税申告に税理士は必要?
相続税の申告は、納税義務者自身でも行うことは可能です。
ただし、専門家である税理士に依頼することを強く推奨します。
税理士は、相続に関する豊富な知識と経験を活かし、相続税の申告業務を円滑に進めるだけでなく、節税対策のアドバイスを提供することで、納税者の負担を大幅に軽減できる可能性があります。
相続税の申告には、申告期限が定められており、被相続人が亡くなった日の翌日から10か月以内となっています。
期限内に申告を完了できない場合は、延滞税や加算税といったペナルティが課されるリスクがあります。
さらに、申告漏れが疑われる場合は、税務調査が行われる可能性も考えられます。
相続税の申告は、複雑な法律知識や手続きを要するため、専門知識や経験が不足すると、申告漏れや誤った申告をしてしまうリスクがあります。
その結果、税務上の不利益を被る可能性もあるため、手続きのハードルが高いことも、税理士への依頼が推奨される理由の一つです。
自分で手続きは可能?
不動産を相続した場合、その名義を相続人名義に変更する手続きが必要になります。
この手続きは「相続登記」と呼ばれ、法律で義務付けられています。
相続登記は、自分で行うことも可能です。
しかし、相続関係が複雑であったり、不動産が未登記の場合、手続きが複雑で難しい場合があります。
また、時間的な余裕がない場合や、遠方の不動産を相続した場合も、専門家のサポートが必要となるケースがあります。
相続登記をスムーズに行うためには、司法書士への相談が有効です。
司法書士は、相続登記に関する手続き全般をサポートし、手続きの負担を軽減します。
相続登記の手続きに不安がある場合は、まずは司法書士にご相談ください。
- 相続関係が複雑な場合
- 相続した不動産が未登記の場合
- 急いで手続きを終える必要がある場合
- 相続した不動産が遠方にある場合
- 手続きを行う時間がない場合
これらの状況に該当する場合は、司法書士に相談することをおすすめします。
司法書士と税理士、どちらを先に依頼すべき?
相続税の申告期限は、亡くなった方の死亡日翌日から10か月以内です。
相続登記よりも先に手続きが必要となるため、司法書士と税理士の両方からのサポートが必要な場合は、まずは税理士にご相談ください。
税理士と連携している司法書士事務所であれば、相続登記までスムーズに進められるでしょう。
相続税申告は6か月以内が目安
故人が亡くなってから10か月以内という期限までに、相続税の申告手続きを完了させる必要があります。
申告期限が近づけば近づくほど、税理士への依頼費用が高額になる可能性があるため、早めの対応が重要です。
相続税の発生が懸念される場合は、相続問題に精通した税理士に相談することをおすすめします。
相続手続きをスムーズに進めるには
不動産の名義変更や相続税申告など、複雑な手続きをスムーズに進めるには、司法書士や税理士といった専門家のサポートが不可欠です。
それぞれの専門分野を理解し、適切なタイミングで依頼することで、手続きの負担を軽減し、トラブルを回避することができます。
相続税対策や遺産分割など、不安な点があれば、ぜひ専門家に相談し、安心できる未来を築きましょう。
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