自身の親が亡くなり、自分が相続人となったとき、確定申告は必要なのでしょうか。また、税金はかかるのか、と疑問に思う方は多いと思います。
そんな疑問にお答えするために、本記事では遺産相続に関する税金と確定申告の必要性について詳しく解説していきます。
※この記事は現役税理士の木住野祐希監修のもと作成しております。
相続税、所得税とは?
相続税、所得税といった言葉を聞いたことがある人は多いでしょう。
遺産相続に関する説明をする上でこれらの言葉を用いる必要があるため、ここで意味を押さえておきましょう。
相続税とは?
相続税とは、人が亡くなった時にその人自身が持っていた財産、すなわち遺産に対してかかる税金のことを指します。
相続税は、相続人やその受領者に支払い義務が発生します。なお必ず支払わなければならない税金ではなく、相続額から葬式費用や借金を除いたとき、基礎控除額を上回る場合に課せられることに注意してください。
所得税とは?
所得税とは、勤め先から受け取る給料や、商売によって発生した金銭に対してかかる税金の事を指します。
所得は、収入から経費を除いた額 (控除と呼びます) として計算されます。
所得税は自身の所得に依存するため、基準は人それぞれであることに注意してください。
遺産相続の確定申告は?
遺産相続は、金銭のやり取りが行われることになるので確定申告が必要なのでは、と考えている人もいるでしょう。
結論から先に述べると、一部の例外を除き、所得税における「確定申告は不必要」です。
では、確定申告が必要になる例外とはどのような場合でしょうか。主に次の5つが挙げられます。
- 収入が発生する遺産の相続時
- 遺産の売却時
- 遺産の寄付時
- 遺産の株価分割時
- 未支給年金および死亡保険金の受領時
以下で詳しく解説していきます。
収入が発生する遺産の相続時
収入が発生する遺産の、具体的な例として挙げられるのは、アパート、マンションなどです。
このような賃貸不動産を相続すると、相続日以降の収入は、もちろん所得税がかかりますから確定申告を行わなければならないのです。
遺産の売却時
相続日以降に遺産を売却したとき、利益が出るならば、上記と同様に利益が発生するため、所得税がかかり確定申告を行わなければなりません。
具体的な例としては、相続した遺産が株や土地に当たる場合です。
遺産の寄付時
相続した遺産を外部へと寄付した場合、基本的には確定申告をしましょう。
必ずしなければならないという訳ではありませんが、節税の面から申告した方が良いです。
遺産の換価分割時
換価分割とは、相続した遺産をすべて現金にしたとき、それらを複数の相続人で分割することを指します。
これも上記と同様に、売却した遺産には、所得税がかかるため確定申告を行わなければなりません。
未支給年金および死亡保険金の受領時
まず未支給年金を受領した場合、相続人の一時所得となるため確定申告が必要です。なお、その年における合計一時所得が50万円以下のときは不必要です。
死亡保険金を受領した場合、所得税、贈与税、相続税がかかるとして取り扱われるため確定申告が必要となります。
準確定申告とは?
所得税は、1月から12月までに所得した額に対して税金が課せられます。確定申告とそれに伴う納税は、翌年の2月16日〜3月15日に行わなければなりません。
もし被相続人がこの期間中に死亡した場合、自身で確定申告及び納税を行うことは不可能となってしまいます。そのため、相続人が代行して確定申告及び納税を行わなければならず、これを準確定申告と呼びます。
相続人が準確定申告において知っておくべきことは以下の2つです。
- 準確定申告が必要な場合
- 準確定申告の期限
以下で詳しく解説していきます。
準確定申告が必要な場合
準確定申告が必要な場合は次の5つのいずれかに当てはまっていた場合です。
- 不動産及び事業所得を得ている
- 被相続人に2000万円以上の収入があった場合
- 給与を2ヶ所以上から取得していた場合
- 給与・退職届以外から20万円以上所得していた場合
- 公的年金の収入が400万円以上だった場合
- 不動産及び株式の売却を行なっていた場合
なお、これ以外にも準確定申告が必要なケースがありますので、詳細は国税庁のウェブサイトをご覧ください。
準確定申告の期限
準確定申告の期限は、相続人が被相続人の死亡を確認してから翌日の4ヶ月以内となっています。
ここで注意しなければならないのが、4ヶ月を過ぎても準確定申告を行わなかった場合、延滞税や無申告加算税が課されてしまうため、早めに準備をしましょう。
まとめ
本記事では、「遺産相続に税金はかかる?確定申告は必要?」というタイトルで解説を行ってきました。
所得税に対する確定申告は原則必要ありませんが、例外を除き必要となるため必ず確認を行いましょう。
また、準確定申告を行わなければいけないケースもありますので、早めの準備を行うことを推奨します。
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