東京都新宿区・山梨県甲府市のあいせ税理士法人
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税理士会とは?何をしていてどんな特徴があるのか?

 

 

税理士会の基本概念と役割

 

税理士会とは、税理士法に基づいて設立された特別な法人組織で、全国の税理士を統括し、その活動を支援・監督する役割を持っています。
税理士が税理士業務を行うためには、この税理士会に所属することが義務付けられており、「登録即入会制」と呼ばれる制度が採用されています。
これは税理士として認められるためには、日本税理士会連合会に登録し、各地域の税理士会に入会する必要があるということになります。

 

税理士会の最も重要な役割は、税理士の職業倫理を維持し、税務の専門家としての質を保証することにあります。
また、納税者の権利を守り、公正な税務行政の実現に貢献するという社会的使命も担っています。
現在、全国には15の税理士会が存在し、約7万8000人の税理士がこれらの組織に所属して活動しています。

日本税理士会連合会

 

税理士会の組織構造と全国展開

 

日本の税理士会は全国に15の地域別税理士会で構成されており、これらの税理士会はそれぞれ独立した法人でありながら、全国組織である「日本税理士会連合会(日税連)」を構成しています。
各税理士会は地域ごとに複数の「支部」を持ち、きめ細かいネットワークを築いています。

 

主な税理士会には以下のようなものがあります。

  • 東京税理士会
  • 近畿税理士会
  • 関東信越税理士会
  • 東北税理士会
  • 九州北部税理士会

など

 

これらのこれらの税理士会は、それぞれの地域特性に合わせた活動を行いながらも、全国的な連携を保っています。
税理士会は、それぞれの地域特性に合わせた活動を行いながらも、全国的な連携を保っています。

 

日本税理士連合会の位置づけ

 

日本税理士会連合会(日税連)は、全国15の税理士会によって構成される総合的な組織で、税理士法に基づいて設立が義務付けられています。
日税連の主な役割は、各税理士会の活動を統括し、税理士の登録に関する事務を行うとともに、税理士会及びその会員に対する指導、連絡、監督を行うことです。

 

日税連は、税理士及び税理士法人の使命と職責を考慮し、税理士の義務遵守と業務の改善進歩に資するため、様々な施策を実施しています。
また、税務行政その他租税に関する制度について調査研究を行い、税理士の社会的地位向上と税務行政の公正化に努めています。

 

 

税理士会の主な事業と活動内容

 

税理士の登録・監督業務

 

税理士会と日本税理士会連合会の最も基本的な業務は、税理士の登録と監督です。
税理士になるためには、日本税理士会連合会に登録申請を行い、承認を受ける必要があります。
かつては国税庁が行っていたこの登録事務は、1961年の法改正により日本税理士会連合会に移譲され、税理士会の自治権が強化されました。

 

また、税理士会は会員である税理士の業務をモニタリングし、税理士としての倫理や業務の質を保つための監督を行っています。
不適切な行為があった場合には、懲戒処分の対象となることもあります。
これにより、税理士の専門性と信頼性を社会に対して保証する役割を果たしています。

 

研修制度による専門性の向上

 

税理士会は、会員の専門知識と技術の向上を図るため、充実した研修制度を設けています。
2015年からは、すべての税理士に対して年間36時間以上の研修受講が義務付けられるようになりました。
これは、複雑化・国際化する税務環境において、税理士の専門性を維持・向上させるために不可欠な取り組みです。

 

研修内容は、税法や会計学の最新動向、実務的なケーススタディ、倫理規定など多岐にわたります。
また、特定の専門分野に特化した研修や、新たに税理士登録した会員のための登録時研修なども実施されています。
これらの研修の多くは税理士会館や研修センターで行われるほか、オンライン研修も充実しており、忙しい税理士でも効率的に学びを深められる体制が整えられています。

 

税務支援と納税者サービス

 

税理士会は、一般の納税者に対する支援活動も積極的に行っています。
「税理士記念日」や「税を考える週間」などには、無料で税務相談を実施し、納税者の疑問や悩みに応えています。
また、各地の税理士会館に税務相談所を設置し、税理士が無料で相談に応じているほか、確定申告期間中には税務署等での申告相談にも協力しています。

 

このような活動は、税理士の社会的使命である「公平な税負担による豊かな暮らしの実現」に寄与するものです。
税理士会はこうした納税者サービスを通じて、税に関する正しい知識の普及と納税意識の向上を図っています。

 

 

税理士会の公益活動と社会貢献

 

成年後見制度への関与

 

税理士会の重要な公益活動の一つに、成年後見制度への積極的な参画があります。
日本税理士会連合会および各税理士会では、成年後見支援センターを開設し、認知症や知的障害などにより判断能力が不十分な方々の財産管理や身上監護をサポートしています。

 

税理士は、財産管理の専門家として、成年後見人に就任する際に特に財産管理面で強みを発揮します。
複雑な相続税や贈与税の問題にも対応できるため、被後見人の財産を適切に守り、管理することができます。
税理士会は、この分野で活躍する税理士のために専門的な研修を実施し、質の高い後見業務の提供を支援しています。

 

地方公共団体監査と外部監査

 

税理士会は、地方公共団体の財政の健全性と透明性を確保するための監査制度にも積極的に関わっています。
全国の都道府県・市町村では、多くの税理士が監査委員や外部監査人として活動し、住民の税金が適正に使われているかをチェックする重要な役割を担っています。

 

税理士は、会計や税務の専門知識を活かして、地方公共団体の財務状況を詳細に分析し、無駄な支出や不適切な会計処理を発見・指摘します。
これにより、行政の公正性と効率性の向上に貢献しています。
日本税理士会連合会では、この制度に参画する税理士のための専門研修を実施し、監査の質の向上に努めています。

 

租税教育と政治資金監査

 

税理士会は、次世代を担う子どもたちに税の意義や役割を理解してもらうための「租税教育」にも力を入れています。
小中学校や高校での租税教室の開催、税に関する作文コンクールの実施など、様々な取り組みを通じて、子どもたちの税に対する理解と関心を深める活動を行っています。

 

また、政治資金の透明性確保にも貢献しており、国会議員関係政治団体の会計報告書を監査する「登録政治資金監査人」として、多くの税理士が活躍しています。
登録政治資金監査人全体の7割以上を税理士が占めており、政治活動の公明性・公正性の確保に大きく寄与しています。

 

 

税理士会の特徴と独自性

 

強制加入制度と自治権

 

税理士会の最も大きな特徴の一つは、税理士業務を行うためには必ず税理士会に入会しなければならないという「強制加入制度」です。
これは、1956年の税理士法改正により導入され、税理士の質の確保と納税者保護のために重要な役割を果たしています。

 

さらに、1961年の法改正では、登録事務が国税庁から日本税理士会連合会へ移譲され、税理士会の自治権が強化されました。
これにより、税理士会は独自の規則や懲戒制度を設け、会員の指導・監督を自律的に行うことができるようになりました。
この自治権は、税理士が独立した公正な立場で業務を行うための重要な基盤となっています。

 

業務改善と調査研究活動

 

税理士会は、税務行政や税理士制度の改善に向けた調査研究活動も積極的に行っています。
複雑化・国際化する税制に対応するため、最新の税制改正や判例、実務上の課題などを研究し、会員に情報提供するとともに、必要に応じて行政機関に対して改善提案や要望を行っています。

 

また、税理士業務の効率化や品質向上のための取り組みも重要な活動の一つです。
電子申告システムの普及推進や、適正な業務報酬のガイドライン策定など、税理士業務の環境整備にも力を入れています。
これらの活動は、税理士の業務改善だけでなく、納税者へのサービス向上にもつながっています。

 

財務大臣の監督と社会的信頼性

 

税理士会は特別法人として、財務大臣の監督下に置かれています。

 

税理士法では、財務大臣が税理士会および日本税理士会連合会の適正な運営を確保するために必要な監督権限を持つことが定められており、会則の重要な変更には財務大臣の認可が必要とされています。
この仕組みにより、税理士会は行政との適切な距離を保ちながら、公正で透明性の高い運営を行うことができています。
また、財務大臣の監督下にあることは、税理士会の社会的信頼性を高める要素となっており、税理士が「税務に関する専門家として、独立した公正な立場」で業務を行うための制度的保証となっています。

 

 

税理士会の今後の展望と課題

 

デジタル化対応と電子申告の推進

 

税理士会は、急速に進むデジタル化に対応するため、電子申告(e-Tax)の普及や会員のICTスキル向上に積極的に取り組んでいます。
電子証明書の発行支援や、電子申告に関する研修の充実など、税理士がデジタル時代に適応するためのサポート体制を構築しています。
今後は、AIやクラウド会計の普及により税務業務の自動化が進む中で、税理士の役割や業務内容も変化していくことが予想されます。
税理士会には、こうした変化に会員が対応できるよう、継続的な支援策を講じていくことが求められています。

 

国際的な税務対応の強化

 

グローバル化が進む中、国際的な税務問題に対応できる税理士の育成も税理士会の重要な課題となっています。
クロスボーダー取引や国際的な税務調査、外国税額控除など、国際税務に関する知識や経験が求められる場面が増えています。

 

税理士会では、国際税務に関する研修プログラムの充実や、海外の税務専門家団体との交流を通じて、会員の国際対応力の向上を図っています。
今後も、ますます複雑化する国際税務の問題に適切に対応できる税理士の育成が、税理士会の重要な使命となるでしょう。

 

社会的認知度と信頼性の向上

 

税理士会のもう一つの課題は、税理士の社会的認知度と信頼性をさらに高めていくことです。
一般の方々に税理士の役割や税理士会の活動をより広く理解してもらうため、広報活動の強化や公益活動の拡充が進められています。

 

また、税理士の倫理観や専門性を維持・向上させるための取り組みも重要です。
研修制度の充実や、不適切な業務を行う会員に対する厳正な対応などを通じて、税理士全体の質を高め、社会からの信頼を獲得していくことが必要とされています。
税理士会は、こうした取り組みを通じて、税理士が社会の中でさらに重要な役割を果たしていけるよう、環境整備を続けていくでしょう。

 

 

まとめ

 

税理士会は、税理士法に基づいて設立された特別法人であり、全国の税理士を統括し、その活動を支援・監督する重要な役割を持っています。
全国15の税理士会と、それらを統括する日本税理士会連合会が連携しながら、税理士の登録管理、研修制度の運営、納税者支援、公益活動など、多岐にわたる事業を展開しています。

 

税理士会の特徴としては、強制加入制度と自治権の保持、財務大臣の監督下にある特別な法的地位、業務改善と調査研究活動の推進などが挙げられます。
これらの特徴により、税理士会は税理士の専門性と独立性を保ちながら、公正な税務行政の実現と納税者の権利保護に貢献しています。

 

今後は、デジタル化への対応や国際的な税務問題への取り組み、社会的認知度の向上などの課題に取り組みながら、税理士会はさらにその役割を発展させていくことが期待されています。
税の専門家団体として、公平な税負担による豊かな社会の実現に向けて、税理士会の活動はますます重要性を増していくでしょう。

 

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