「固定資産税と償却資産税ってどう違うの?」「固定資産税に節税方法はあるの?」とお困りの方必見!
本記事では、固定資産税と償却資産税の違いから、固定資産税の対象となる資産や、節税するための方法、特例措置など詳しく解説していきます。
固定資産税とは?償却資産税とは違う?
固定資産税は、土地や建物などの不動産の所有者が毎年支払う税金です。
不動産の評価額に基づいて課税されます。
一方、償却資産税は、機械や設備などの事業用資産の所有者が毎年支払う税金です。
事業用資産の評価額に基づいて課税されます。
固定資産税と償却資産税の違いは、課税対象となる資産の種類と課税目的です。
固定資産税は不動産を対象とし、地方自治体の財源として、道路や公園などの公共施設の整備や維持管理に充てられます。
一方、償却資産税は、機械や設備などの事業用資産を対象とし、地方自治体の財源として、産業振興や雇用創出などの施策に充てられます。
固定資産税は不動産の価値に応じて課税される一方、償却資産税は事業用資産の価値に応じて課税されます。
固定資産税の対象となる資産と支払い方法
固定資産税は、毎年1月1日時点の不動産や車両などの資産に対して課される税金です。
これは、市区町村に納める地方税であり、土地や建物を所有する個人だけでなく、法人にも課税されます。
この税金は、毎年5月頃に納税額が明記された納付書が送付され、4月、7月、12月、2月の4回に分けて支払われます。
納税方法は、郵便局や銀行の窓口、口座振替のほか、自治体によってはクレジットカードやコンビニでの支払いも利用できる場合があります。
償却資産税との具体的な違い
固定資産税は、土地や建物といった不動産に対して課される税金です。
一方、償却資産税は、機械や器具備品など、土地・建物以外の固定資産に課せられる税金です。
両者の大きな違いは、申告の必要性の有無にあります。
固定資産税は、役所が登記簿などの情報に基づいて課税対象を判断するため、納税者からの申告は不要です。
これに対して、償却資産税は、毎年1月31日までに「償却資産申告書」を提出する必要があります。
この申告書は、毎年、自治体から送付されます。
土地や建物は取得時に登記が必要となるため、役所は登記簿によって課税対象を把握することができます。
そのため、納税者からの申告は不要となります。
しかし、一般的に機械などは取得時に届け出を必要としないため、役所は課税対象を把握できません。
そこで、毎年1月1日時点の償却資産を「償却資産申告書」に記載して、1月31日までに提出する必要があります。
法人税とは異なり、固定資産税・償却資産税ともに、税額が記載された納付書が送付されます。
納税者は、納付書に記載された金額を支払えばよいという、賦課課税方式を採用しています。
税率も当然違います。
固定資産税の税額は、固定資産税評価額に標準税率(1.4%)を乗じて算出されます。
償却資産税の税額は、償却資産の評価額に標準税率を乗じて算出されます。
減価償却に関してはこちらの記事をご覧ください。
減価償却とは?計算方法や定額法・定率法の違いを解説
固定資産税は経費にできる?
法人税などとは異なり、固定資産税は事業活動における経費として計上することができます。
固定資産税は、損益計算書(P/L)において販売費および一般管理費に計上されます。
この時重要な点は、法人税とは異なり税前利益から直接支払う税金ではないということです。
個人事業主も固定資産税を経費にできる?
事業で利用する不動産や減価償却資産に対する固定資産税は、経費として計上できます。
一方、自宅の固定資産税はプライベートな支出となるため、経費として計上することはできません。
ただし、自宅を事務所兼用としている場合は、事業に使用しているスペースの割合に応じて、固定資産税の一部を事業経費として計上することが可能です。
この場合、固定資産税の按分処理が必要となります。
勘定科目としては、「租税公課」で処理します。
固定資産税は節税できるのか?
固定資産税は、毎年1月1日時点で所有している土地や建物などの固定資産に対して課せられる税金です。
これは、不動産の所有者に課される税金であり、所有する資産の価値に基づいて計算されます。
企業の場合、固定資産税は、事業の遂行に不可欠な土地、建物、機械設備などの様々な資産に対して課せられます。
そのため、固定資産税の負担は、企業の収益に大きな影響を与える可能性があります。
企業にとって、固定資産税は経営上の重要な要素の一つと言えるでしょう。
固定資産税の税率は、都道府県や市区町村によって異なります。
また、固定資産の種類によっても税率は異なり、土地、建物、償却資産など、それぞれ異なる税率が適用されます。
固定資産税の負担を軽減するために、様々な節税対策が考えられます。
以下に、代表的な節税方法をいくつかご紹介します。
- 償却資産の取得時期を調整する
償却資産とは、建物や機械設備などの有形固定資産のことです。
これらの資産は、取得した日から一定期間をかけてその価値が減っていくとみなされ、その減価償却費を費用として計上することができます。
償却資産の取得時期を調整することで、固定資産税の負担を軽減することができます。
例えば、償却資産の取得を12月に繰り下げることで、翌年の固定資産税の課税対象から外すことができます。
これにより、税負担を翌年に繰り延べることが可能となります。
- 固定資産の評価額を見直す
固定資産の評価額は、固定資産税の課税額を計算する際の基準となります。
固定資産の評価額が低ければ、固定資産税の負担も低くなります。
固定資産の評価額の見直しは、専門家に依頼するのがおすすめです。
専門家は、固定資産の評価方法や減価償却方法について詳しく知っています。
専門家のアドバイスを受けることで、適正な評価額を見直し、税負担を軽減することが期待できます。
- 固定資産の活用方法を見直す
固定資産を有効活用することで、固定資産税の負担を軽減することができます。
例えば、遊休地を賃貸に出したり、工場の一部をリースに出したりすることで、固定資産から収入を得ることができます。
これにより、固定資産税の負担を軽減し、収益の向上に繋げることが期待できます。
固定資産税の節税は、企業にとって重要な課題です。
上記の方法を参考に、積極的に節税対策を進めていきましょう。
専門家のアドバイスを得ながら、適切な対策を講じることで、企業の収益向上に貢献することができます。
固定資産税が掛からない「免税点」とは?
固定資産には、一定の金額までは税金がかからない「免税点」が設けられています。
- 土地:30万円
- 家屋:20万円
- 償却資産:150万円
これは、同じ市区町村内に所有する固定資産の合計額に対して適用されます。
つまり、複数の市区町村にまたがって固定資産を保有している場合、それぞれの市区町村において免税点の範囲内で所有していれば、税金は課税されません。
例えば、3つの異なる市区町村でそれぞれ100万円ずつの償却資産を保有していたとしても、各市区町村における所有額が免税点の150万円を超えていなければ、税金は課税されません。
一括償却資産は非課税
固定資産税の課税対象となるのは、一般的に固定資産として個別に管理されるものです。
しかし、10万円以上20万円未満の固定資産は、一括して3年で減価償却を行う「一括償却資産」として扱われ、固定資産税の対象外となります。
つまり、一括償却資産は、個別に管理する必要がなく、一律に3年間で価値が減っていくものとして扱われるため、固定資産税が課されないのです。
土地の分筆で評価額を下げる
土地を分割登記することによって、固定資産税の節税につながる可能性があります。
分筆とは、登記簿上の1つの土地を複数に分割することを指します。
例えば、広大な土地を所有している場合、駅からの距離によって利便性が大きく異なる場合があります。
駅に近い部分は高値で評価される一方で、駅から遠い部分は低く評価される可能性があります。
このような場合、利便性の高い部分とそうでない部分を分割して登記することで、土地全体の評価額を下げることができ、結果として固定資産税の負担を軽減できる場合があります。
固定資産税に関する特例措置
固定資産税の特例措置は、所有する不動産の種類や状況によってさまざまなものが存在し、活用することで税負担を軽減できる可能性があります。
具体的には、以下のような特例措置が挙げられます。
- 住宅用地の特例
住宅用地として利用される土地を所有する場合、一定の要件を満たせば、評価額や税率の軽減が受けられます。
住宅用地特例では、評価額の減額が適用され、住宅取得等資金の特例では、税率の軽減が適用されます。
- 農地などの特例
農地や森林など、一定の要件を満たす土地を所有している場合、評価額や税率の軽減が受けられます。
農地等の特例では、評価額の減額が適用され、農地等の特例では、税率の軽減が適用されます。
- 事業用資産の特例
事業用の建物や土地を所有している場合、一定の要件を満たせば、評価額や税率の軽減が受けられます。
事業用資産の特例では、評価額の減額が適用され、事業用資産の特例では、税率の軽減が適用されます。
- その他特例
上記以外にも、災害による損害を受けた固定資産に対する減免措置など、さまざまな特例措置が存在します。
まとめ
固定資産税は土地や建物などの不動産の所有者が支払う税金で、償却資産税とは異なるものです。
今回の記事では両者の違いから節税の方法までご紹介しました。
固定資産税は経費として計上することも可能で、節税するためには固定資産の評価額を見直したり、土地の分筆などを検討するようにしましょう。
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