4月に入り、給与所得者の扶養控除等の(異動)申告書(以降、扶養控除申告書)の記載は、新入社員だけに実施すればいいものだと思っている経営者や経理・人事担当者も多いのではないでしょうか。
確かに、4月は新入社員に書いてもらう書類が多く、その中の1つに扶養控除申告書は含まれています。
すでに勤務している従業員には12月の年末調整時に記載してもらっているため、不要だと思いがちです。
しかしそこには落とし穴があります。そこで今回は、扶養控除申告書の見直しをしてもらうタイミングについて解説します。
4月に見直しをしてもらえれば年末調整業務がラクになる?
新入社員に扶養控除等申告書を記載してもらうのは、当たり前の話ですが、実はこのタイミングですでに勤務してる従業員の見直しをしてもらうと、年末調整作業がラクになります。
また、従業員にとっては特定支出控除の証明書をお願いしておくタイミングにもなるため、双方にとって重要です。
年末調整を実施する12月に記載してもらう翌年の扶養控除申告書に記載する住所は、その時点で住んでいる住所を記載しています。
そのため、転勤などで引っ越しをしている場合、住所が変更になっている可能性があります。
4月に最新の情報に訂正を入れてもらうことで、企業は従業員の最新情報を管理できるでしょう。
給与所得者の扶養控除等の(異動)申告書で企業が得られる情報は多い
扶養控除申告書と聞けば「年末調整=所得税」と思いがちですが、企業にとって必要な情報が記載されています。
従業員が引っ越しをした場合、次の書類の変更が必要です。
必要な書類 | 届出期限 | |
---|---|---|
社会保険に関するもの | 健康保険・厚生年金保険 被保険者住所変更届 |
速やかに |
損害保険に関するもの | 保険会社所定の用紙 | 速やかに |
労働者名簿の変更 | 各企業で使用している様式 | 速やかに (提出義務なし・社内保管のみ) |
通勤手当の見直し | 各企業が作成している申請届 | 速やかに |
例えば「速やかに」という記載がある場合、それは「いつでもいい」というわけではありません。
従業員にとって将来受け取る年金に関連するため、すぐに手続きする必要があります。
また、労働者名簿も「必要になる機会が少ないから」と変更せずにいると、いざ必要なときに変更情報が漏れるリスクがあります。
通勤手当の見直しは、従業員があとから会社へ申し出るケースもあり、遡って精算しなければならないケースや、最悪の場合、訴訟へつながることもあるため注意しなければなりません。
これら、変更届の作成に必要な情報は「扶養控除申告書」で網羅できます。
そのため、この1枚に訂正を入れてもらうことでほかの変更届も作成できます。
最終的には年末調整で確認する
転勤のように、企業が従業員に辞令を出し変更が伴っている場合は、その会社の動きに合わせて従業員に呼びかければ、変更漏れを防止できます。
しかし、従業員個人の意向で引っ越しをした場合には、どうしても変更が漏れてしまうケースがあります。
日ごろから、従業員に対して変更があった場合には速やかに報告するよう、周知しておくことが大切です。
それでも漏れてしまった場合には、年末調整時に変更内容を確認しましょう。
国税庁:年末調整がよくわかるページ
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