「税金はできるだけ抑えたいけど、脱税は怖い…」そんな不安をお持ちではありませんか?
本記事では、節税と脱税の違い、そして脱税行為の具体例や罰則について詳しく解説します。
節税は合法的な範囲内で税金を減らす方法ですが、脱税は違法行為であり、重い罰則が科せられます。
脱税と誤って捉えられてしまうような行為や、節税と脱税の境界線について、具体的な事例を交えてわかりやすく解説します。
脱税のリスクを理解し、安心して節税対策に取り組むための知識を身につけましょう。
節税と脱税の違いとは?
税金対策には、合法的な範囲で税負担を減らす「節税」と、法律に違反して税金を逃れる「脱税」があります。
どちらも税金を減らすという点では共通していますが、その手段と結果は大きく異なります。
節税は、法律で認められた範囲内で、税負担を減らすための様々な工夫を凝らした方法です。
一方、脱税は、法律で禁止されている行為であり、税務当局から厳しい罰則が科される可能性があります。
なので、法人・個人問わず、税金対策を行う際には節税と脱税の違いを正しく理解することが重要です。
節税は、税金に関する知識を深め、合法的な範囲内で税負担を減らすための努力を続けることで実現できます。
一方、脱税は、法律に違反する行為であり、決して許されるものではありません。
節税と脱税の違いを理解し、適切な税金対策を行うようにしましょう。
脱税には、様々な行為が含まれます。
例えば、収入を申告せずに隠したり、架空の経費を計上したり、不正な方法で税金を還付したりすることが挙げられます。
脱税は、税務当局から厳しく取り締まられており、発見された場合は、追徴税や罰金、場合によっては刑事罰が科されることもあります。
知識がないために知らず知らずのうちに脱税してしまっていたなどということを防ぐために、税金対策を行う際には専門家のアドバイスを受けることが重要です。
税理士などの専門家は、税金に関する豊富な知識と経験を持っていますので、節税対策のアドバイスや脱税防止のためのサポートを受けることができます。
税金に関する疑問や不安がある場合は、あいせ税理士法人にご相談ください。
お客様にあった節税対策のサポートをさせて頂きます。
租税回避とは?
税金に関する用語として、節税、脱税、租税回避があります。
それぞれ、法律上の解釈や法的リスクが大きく異なります。
- 節税…合法的な範囲内で、経費や控除などを活用することで、課税所得額を減らし、税負担を軽減する方法です。
- 脱税…本来支払うべき税金を不正に逃れる行為です。
所得隠しや二重帳簿の作成など、違法行為に該当し、発覚した場合には、ペナルティや刑事罰などの厳しい処罰が科せられます。 - 租税回避…税法の抜け穴を利用して、合法的に課税所得を減らす行為です。
法の解釈のグレーゾーンを突く手法となるため、倫理的な問題や将来的な法的リスクを伴う可能性があります。
「節税」と「租税回避」は、法律上は問題ありませんが、「脱税」は違法行為であり、重大な法的責任を伴います。
租税回避は、法律の解釈が複雑で、常に変化する可能性があるため、専門家と相談することが重要です。
例えば、過去には海外財産を海外在住者に贈与する場合、贈与税が課税されませんでした。
そのため、一時的に海外へ移住して贈与を行うことで、税金を回避する事例がありました。
これが租税回避に該当します。
脱税は、故意に所得を隠したり、虚偽の申告を行ったりすることで、税金を逃れようとする行為であり、絶対に許される行為ではありません。
脱税に該当する行為については、次の項目で詳しく説明します。
脱税にあたる行為とは?
税金の申告において、意図的に収入を少なく見せたり、不正な経費を計上したりする行為は、脱税として扱われ、深刻な法的問題に発展する可能性があります。
ここでは、脱税とみなされる具体的なケースを5つ挙げ、それぞれの行為がなぜ脱税に該当するのかを詳しく解説します。
1.売上を少なく申告する(売上隠し・利益圧縮)
企業や個人事業主が実際に得た収益を意図的に少なく申告する行為です。
申告する売上・利益が少ないため納めるべき税金の金額もすくなくすることができます。
主な手口は以下の通りです。
- 架空売上の取り消し(売上除外)
現金売上の一部を帳簿に記載しない
(例:小売店や飲食店で、売上の一部をレジに記録せずポケットに入れる)
法人であれば、架空の返品やキャンセル処理をして売上を圧縮する
- 架空の値引き・割引を適用する
実際には行っていない値引きを装い、売上を少なく見せる
- 二重帳簿の作成
表向きの帳簿(税務申告用)とは別に、本当の売上を記録した裏帳簿 を作成
- 海外送金を利用した売上隠し
事業の売上を海外口座に直接振り込み、国内での申告を行わない
2.経費を不正に増やす(架空請求・水増し経費)
経費を増やせば利益が減るため、税金を減らせるが、不正な経費計上は脱税に該当します。
主な手口は下記の通りです。
- 架空の経費を計上
実際には支払っていない取引をでっち上げ、架空の請求書を作成して経費計上
例:知人の会社と実際には存在しない業務委託契約を作り、架空の外注費を計上
- 個人的な支出を会社の経費にする
社長の個人的な飲食・旅行・趣味の出費を「接待交際費」や「研修費」として経費計上したり、自宅の家賃・光熱費を「オフィスの賃貸料」として計上したりする方法
- 家族や架空の従業員に給与を支払う
実際には働いていない家族や知人に給与を支払い、会社の経費にする
(給与所得控除を利用し税金を逃れる)
- 高額な資産を一括経費にする
例えば、500万円の高級車を会社の経費で購入し、一度に全額を経費として計上(本来は減価償却が必要)
減価償却に関してはこちらの記事をご覧ください。
減価償却とは?計算方法や定額法・定率法の違いを解説
3.架空会社を作って利益を分散(ペーパーカンパニーの利用)
税負担を減らすために、実態のない会社(ペーパーカンパニー)を作り、利益を分散させる手法。
具体的には下記のような手口で行われることが多いです。
- ペーパーカンパニーを通じて利益を移動
実際には存在しない取引を行い、利益を移動させる
例:売上を架空の関連会社に移し、本体の利益を圧縮
- タックスヘイブンを利用する
税率の低い海外(シンガポール、ケイマン諸島など)に会社を設立し、日本の課税を回避
4.消費税の不正還付(仕入れ税額控除の悪用)
消費税を不正に取り戻すための手口。
最近でも時計販売業者が消費税の不正還付で逮捕されています。
インボイス偽造で消費税不正還付か 時計販売業者を告発(日本経済新聞)
具体的には下記のような手口になります。
- 架空の仕入れを計上
実際には購入していない商品・サービスを架空の仕入れとして計上し、消費税の還付を受ける
- 免税業者を悪用
免税事業者(年間売上1,000万円以下の業者)から仕入れたように装い、消費税控除を受ける
- 海外取引を装って消費税還付を受ける
輸出取引は消費税が非課税なので、架空の輸出を申告し、不正還付を受ける
5.個人資産を隠して相続税を逃れる(相続税・贈与税の脱税)
相続税や贈与税を避けるために資産を隠す行為。
上記は法人でよくある脱税でしたが、相続税逃れに関しては個人が対象になります。
子供や孫に多く資産を残したい気持ちは分かりますが、脱税にならないよう気を付ける必要があります。
下記のような手口が多く見うけられます。
- 海外口座に資産を隠す
海外の銀行口座に財産を移し、日本の税務署に申告しない
- 名義を借りて財産を移動
相続税を避けるために、家族や親族の名義で財産を分散し、課税を逃れる
- 生前贈与を隠す
贈与税を逃れるために、親が子供名義の口座に資金を移し、「自分の財産ではない」と装う
脱税が発覚した場合のペナルティ
脱税が発覚した場合、厳しいペナルティが科せられます。
その罰則には、延滞税、加算税、刑事罰の3つの種類があります。
延滞税は、税金の納付期限を過ぎても納付しなかった場合に発生する税金です。
加算税は、申告漏れや過少申告など、税金の申告を正しく行わなかった場合に発生する税金です。
脱税が重大な犯罪と判断された場合は、刑事罰が科せられます。
脱税は、個人だけでなく、企業も対象となります。
企業が脱税を行った場合、その企業だけでなく、経営者個人も刑事責任を問われる可能性があります。
下記でそれぞれ詳しく解説いたします。
延滞税
税金は、決められた期限までに納付することが義務付けられています。
しかし、様々な事情で期限内に納付ができない場合や、申告内容に誤りがあり修正が必要な場合、申告自体が遅れてしまう場合があります。
このような場合に課されるのが、延滞税です。
延滞税は、期限内に納付できなかった税金や、修正申告、期限後の申告に対して課されるもので、納付すべき税金の金額と延滞期間に応じて計算されます。
つまり、納税者が税金を期限内に納付しなかったり、申告を遅らせたりすることで、本来の税金に加えて、延滞税というペナルティを支払うことになるのです。
延滞税の発生は、納税者にとって大きな負担となるため、期限内に納付できるよう、計画的に納税の準備を進めることが重要です。
また、申告内容に誤りがないか、期限内に申告できるよう、十分な注意が必要です。
加算税
税金は、申告期限までに申告した金額が不足していた場合、申告期限までに申告しなかった場合、源泉徴収額を納付期限までに納付しなかった場合、または申告内容に虚偽があった場合に課せられます。
具体的には、申告漏れや納付漏れがあった場合、税金に加えて延滞税も課せられます。
また、故意に事実を隠していた場合は、さらに重い罰則が科せられる場合があります。
税金に関するトラブルを避けるためには、申告期限までに正確な申告を行い、納付期限までに納付額を納めることが重要です。
刑事罰
脱税は、逃亡や証拠隠滅のおそれがある場合に逮捕される可能性があります。
確定申告書などの書類を期限までに提出しないと、5年以下の懲役または500万円以下の罰金が科されることがあります。
虚偽の申告や不正行為で税金を逃れると、10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金が科せられます。
意図せず過少申告した場合も脱税とみなされる場合がありますが、悪質なものでなければ修正申告で済むケースもあります。
過少申告に気づいたら、できるだけ早く申告し、正しい金額を納付するようにしましょう。
節税と脱税の違いまとめ
節税は合法的な範囲内で税金を抑えるための戦略ですが、脱税は違法行為であり、重いペナルティが科せられます。
脱税行為は、売り上げの隠蔽、二重帳簿の作成、架空経費の計上など、様々な方法で行われます。
脱税が発覚した場合、延滞税、加算税、刑事罰など、多額の罰金や懲役刑が科される可能性がありますので、税金に関する正しい知識を身につけ、節税と脱税の違いを理解することで、脱税をしないように努めることが重要です。
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