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相続税申告は本当に必要?【自分でできるか、手続きの流れについて解説】


亡くなられた方の遺産規模が大きい場合は相続税の申告手続きをおこない、相続税を納める必要があります。そして相続税の申告期限までに申告手続きと納税をおこなわないとペナルティがありますので、生前のうちに相続税申告の準備をしておくことをおすすめします。

また、相続税対策をおこなうことで相続税の金額を抑えることができますので、有効な相続税対策の方法がないか税理士などの専門家に相談すると良いでしょう。

 

こちらのページでは相続税申告について解説しています。税理士選びのポイントについても紹介しておりますので、まだどの税理士に依頼するか迷われている方はご参考にしていただきますと幸いです。

※この記事は現役税理士の山口由美子監修のもと作成しております。

相続税申告が必要かどうかの判定

相続税申告は、受け継ぐ金額により決まります。亡くなった人の遺産を受け継ぐ際に、遺産総額が大きい場合は相続税の申告手続きをおこない、相続税を納める必要があります。

 

平成28年度の国税庁のデータによると相続件数のうち8%の相続において相続税申告がおこなわれています。

 

相続税の基礎控除

相続税が課税されるかどうかのボーダーラインとなる金額のことを相続税の基礎控除といいます。

遺産総額が相続税の基礎控除より大きい場合は、相続税の申告手続きをおこなう必要があります。対して遺産総額が相続税の基礎控除以下であれば、相続税の申告手続きをおこなう必要はありません。

 

相続税の基礎控除の計算式

3,000万円+(600万円×法定相続人の数)=相続税の基礎控除

 

法定相続人とは民法で定められた相続人のことです。

例えば、法定相続人の数が3人の場合、3,000万円+(600万円×3人)で相続税の基礎控除は4,800万円となります。遺産総額が4,800万円以下あれば相続税の申告手続きをおこなう必要はありません。

 

遺産総額が相続税の基礎控除を超えている場合、超えた分に相続税が課税されます。

例えば、相続税の基礎控除が4,800万円、遺産の合計額が1億円の場合、1億円-4,800万円で5,200万円に相続税が課税されることになります。

 

法定相続人の範囲

誰が法定相続人になるかについて説明します。

まず、配偶者はどのような場合であっても法定相続人になります。配偶者以外の親族には相続順位が定められており、順位が高い人から法定相続人になります。相続順位は下記の表のとおりです。

 

第1順位 子供

第2順位 親

第3順位 兄弟姉妹

例えば、故人に配偶者・長男・二男・母親・兄がいる場合、法定相続人は配偶者・長男・二男の3人です。母親・兄は子供より相続順位が低いので法定相続人ではありません。

 

遺産総額の計算方法

遺産総額が相続税の基礎控除以下であれば相続税の申告・納税をおこなう必要はありません。遺産総額を計算する方法は次のとおりです。

 

全ての遺産を計算する

生前贈与加算の対象となる贈与を加算する

相続時精算課税制度による贈与を加算する

遺産総額と相続税の基礎控除を比較する

 

①全ての遺産を加算する

まず、現金預貯金・株式・不動産など、故人の遺産を全て足し合わせます。なお、生命保険金や退職手当金には非課税枠があり、【500万円×法定相続人の数】が非課税となります。

墓地・仏具等は非課税財産ですので相続財産に加算する必要はありません。故人が借金をしていた場合は相続財産から借金を差し引いてください。また、葬式費用についても相続財産から差し引くことができます。

 

②生前贈与加算の対象となる贈与を加算する

死亡前3年以内に故人から贈与を受けた場合は相続財産に贈与額を加えます。死亡前3年以内の贈与を加算する規定を生前贈与加算といいます。

ただし、生前贈与加算の対象者は相続や遺贈により財産を取得した人です。死亡前3年以内に故人からお金をもらっていても相続や遺贈によって財産を受け取っていなければ生前贈与加算は適用されません。

 

③相続時精算課税制度による贈与を加算する

相続時精算課税制度とは、親・祖父母から子供・孫へ贈与する際に2,500万円まで無税で贈与できる制度です。ただし、相続時に相続時精算課税制度で贈与した分を相続財産に加える必要がありますので、相続税が課税されます。

税金の課税時期を贈与時ではなく相続時に先送りしているだけですので、節税効果はほとんどないと言えるでしょう。相続時精算課税制度を利用していた場合、相続時精算課税制度で贈与した分を遺産総額に加算します。

 

④遺産総額と相続税の基礎控除を比較する

遺産を全て足し合わせ、生前贈与加算と相続時精算課税制度の対象となる贈与を加算して算出した遺産総額と相続税の基礎控除を比較し、相続税の基礎控除の方が大きければ相続税の申告手続きや納税をおこなう必要はありません。

 

相続税申告の期限

相続税申告の期限は相続の開始を知った日の翌日から10ヵ月以内です。

例えば、2月10日に相続が発生したことを知った場合は12月10日が期限となります。なお、期限までに申告手続きだけではなく納税までおこなう必要があります。

 

相続税申告のペナルティを4つ紹介【知らないと危険です】

相続税申告を期限までにおこなわなかったり、相続財産を意図的に隠していた場合はペナルティがあります。相続税申告のペナルティを4つご紹介します。

 

  • 無申告加算税
  • 延滞税
  • 過少申告加算税
  • 重加算税

無申告加算税

税務調査を受けた後に申告手続きをおこなった場合、相続税の金額の15%を無申告加算税として支払う必要があります。なお、相続税の金額が50万円を超える場合、超えた分に対しては20%の税率で無申告加算税が課税されます。

 

延滞税

相続税の納税を期限までにおこなわなかった場合、申告期限の翌日から納付日までの日数に応じて利息に相当する金額が延滞税として課税されます。なお、申告期限までに申告手続きも納税もおこなっていない場合は無申告加算税と延滞税の両方が課税されます。

 

過少申告加算税

税務調査で相続税が少なかったことが発覚し、追加で納税する場合は過少申告加算税として追加納税額の10%が課税されます。追加納税額が当初の申告額と50万円のいずれか大きい金額を超える場合、超えた分には15%の税率で過少申告加算税が課税されます。

 

重加算税

相続税申告書の内容を意図的に偽装し、相続税の金額を少なく申告した場合は重加算税として納付税額の35%が課税されます。相続税申告が必要にもかかわらず、相続税が発生しないように偽った場合は重加算税として納付税額の40%が課税されます。

 

相続手続きの流れ

相続手続きの流れは下記のとおりです。

 

  1. 死亡届の提出
  2. 遺言書の確認
  3. 相続人の確認
  4. 相続財産の確認
  5. 相続放棄・限定承認の検討
  6. 所得税の準確定申告
  7. 遺産分割協議書の作成
  8. 相続税の申告・納税

 

遅くなりすぎてしまうとトラブルになるおそれがありますので、できるだけ早いタイミングで手続きを済ませましょう。

 

①死亡届の提出

亡くなったことを知ってから7日以内に市町村役場に死亡届を提出します。なお、死亡届は病院に発行してもらう死亡証明書と一体になっており、用紙の右側が死亡証明書、左側が死亡届となっています。

 

②遺言書の確認

遺言書の有無を確認します。故人が遺言書を作成していた場合は遺言書のとおりに遺産を分割します。なお、遺言書を開封する前に家庭裁判所で検認を受ける必要があります。勝手に開封すると5万円以下の過料を科されますのでご注意ください。

③相続人の確認

故人が遺言書を作成していない場合は法定相続人全員で遺産の分け方について話し合って決める必要があります。誰が法定相続人なのか確認するために、被相続人の出生から死亡日までの全ての戸籍謄本を市町村役場で取得しましょう。

 

④相続財産の確認

故人が所有していた財産を確認します。まずは故人の自宅に保管されている財産関係の資料を確認しましょう。預金通帳・保険証券・出資金の証書・不動産の権利証などが保管されていないか探します。なお、借金や未払いの税金などは相続財産から差し引いて相続税を計算することができますので、このようなマイナスの財産についても確認しましょう。

 

⑤相続放棄・限定承認の検討

相続人はプラスの財産だけではなく借金などのマイナスの財産も相続します。借金を相続した場合は故人の代わりに弁済する必要があります。

しかし、相続放棄をするとプラスの財産を受け取ることもできませんが、借金を弁済する必要がなくなります。

また、限定承認をするとプラスの財産の範囲内で借金を弁済することになります。相続放棄と限定承認の期限は相続の開始を知った日から3ヵ月以内ですのでご注意ください。

 

⑥所得税の準確定申告

故人に所得があった場合、相続人が代わりに確定申告をおこなう必要があります。故人の代わりに確定申告をすることを所得税の準確定申告と言います。故人が事業をおこなっていたり、2,000万円以上の給与所得がある場合は所属税の準確定申告をする必要があります。なお、準確定申告の期限は相続開始の翌日から4ヵ月以内です。

 

⑦遺産分割協議書の作成

法定相続人全員で遺産の分け方について協議し、どのように分けるのか決まったら遺産分割協議書を作成します。誰がどの遺産を受け取るのか具体的に明記しましょう。

法定相続人全員が署名押印する必要があり、一人でも欠けていたら無効となってしまいます。各相続人が遺産分割協議書を1通ずつ持っていると必要な手続きを円滑に進めることができます。

 

⑧相続税の申告・納税

相続税申告書と添付資料を税務署に提出し、相続税を納めます。なお、遺産分割協議が終わっていない場合であっても10ヵ月以内に納税しなければ延滞税が発生します。そのため、遺産の分け方が決まっていない場合はとりあえず法定相続人が法定相続分で受け取ったことにして申告と納税をおこないます。

そして、遺産の分け方が決まった後に相続税の金額を訂正し、不足していた場合は追加で納税し、払い過ぎていた場合は還付を受けます。

 

相続税申告の税理士選びの3つのポイント

税理士の違いがわからず、税理士報酬が安い税理士に依頼される方が多いのですが、実は税理士報酬だけで税理士を選んでしまうと結果的に損をしてしまうおそれがあります。相続税申告の税理士選びのポイントを3つご紹介します。

 

  1. 相続税申告の実績が豊富にある
  2. シミュレーション結果を作成してもらえる
  3. 税務調査対策をしてもらえる

 

相続税申告の実績が豊富にある

税理士であれば法人税・所得税・消費税・相続税などあらゆる税務に精通していると思われている方が多いのですが、税理士によって得意分野と不得意分野が異なります。

医者に内科・外科・眼科・耳鼻科などの専門分野があるように、税理士にも専門分野があります。相続税の相談をするのであれば相続専門の税理士に相談することをお勧めします。

 

シミュレーション結果を作成してもらえる

故人が遺言書を作成していない場合は法定相続人全員で遺産の分け方について話し合う必要があります。遺産の分け方について話し合う前に「誰が何を相続したら相続税がいくら課税される」ということを把握しておくことをお勧めします。どのように遺産を分けたら相続税がいくら課税されるのか把握することで遺産分割協議が円滑に進むことがあります。

 

遺産をどのように分割したら各相続人の相続税がいくらになるのか、シミュレーション結果を作成してもらえる税理士に依頼することをお勧めします。なお、一次相続だけではなく二次相続についても考慮してシミュレーションをおこなわないと二次相続の相続税が高額になってしまうおそれがあります。

 

税務調査対策をしてもらえる

相続税の申告が終わった後に税務調査を受ける場合があります。税務調査とは相続税の申告漏れや誤りがないか税務署が調査することです。税務調査が入った場合、追徴課税が発生する確率は80%以上です。税務調査が入るとほとんどの場合、相続税の金額が増え、相続税を追加で納めなければいけなくなってしまいます。

 

相続のことはあいせ税理士法人におまかせください

今回の記事では相続税申告について解説していきました。

 

確定申告は相続税申告の取引を行っている限り必ず行わなくてはならないことです。

 

自分で確定申告を行うのが面倒だと思う方・難しいと思う方・時間がつくれないという方は、ぜひ、あいせ税理士法人の相続税サービスを利用してみてはいかがでしょうか?

 

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