近年、高齢化社会の影響で、企業における人材確保や定年後の雇用継続がますます重要になっています。
その課題解決に役立つ制度の一つが「高年齢雇用継続給付」です。
この給付金を受け取るためには、「みなし賃金日額」という指標が重要な役割を果たします。ここでは、みなし賃金日額の定義や計算方法、適用される場面などについて詳しく解説します。
みなし賃金日額の定義と概要
みなし賃金日額は、労働者の賃金が一定の基準を下回った場合に、高年齢雇用継続給付金の計算基礎となる賃金額です。
これは、病気や怪我などにより労働能力が低下したために賃金が下がった場合、本来得られるはずだった賃金に基づいて給付金を支給することで、生活の安定を支援することを目的としています。
みなし賃金日額の適用場面
みなし賃金日額が適用されるのは、主に以下の4つのケースです。
- 病気や怪我により、長時間労働や休日出勤などができなくなった場合
- 介護休暇や育児休暇を取得したことで、勤務時間が短くなった場合
- 会社都合で降格や減給された場合
- 雇用形態が変更され、賃金が下がった場合
みなし賃金日額の計算方法
60歳到達時点の賃金月額から算定します。みなし賃金日額は、以下の式で計算されます。
みなし賃金日額と高年齢雇用継続給付の関係
高年齢雇用継続給付は、60歳以上の被保険者が一定の要件を満たした場合に支給される給付金です。
高年齢雇用継続給付の概要
高年齢雇用継続給付は、次のように2種類に分かれます。
また、高年齢再就職給付金は、以下の4つを満たしているか確認しておく必要があります。
- 基本手当についての算定基礎期間が5年以上
- 再就職した日の前日における基本手当の支給残日数が100日以上
- 1年を超えて引き続き雇用されることが確実であると認められる安定した職業に就いた
- 同一の就職について、再就職手当の支給を受けていない
高年齢雇用継続給付に与える影響
高年齢雇用継続給付金の支給額は、以下の式で計算されます。
ここで、「賃金の低下率」を計算する際に、みなし賃金日額が重要な役割を果たします。
みなし賃金日額に関する注意点と留意事項
みなし賃金日額を適用する際には、留意事項があります。事業主は、これらを十分に理解し、適切に対応する必要があります。
適用期間
みなし賃金日額は、原則として60歳到達時点から5年間適用されます。ただし、一定の条件を満たすと、5年を超えて適用される場合もあります。
実際の賃金の差異への対応
みなし賃金日額はあくまでも目安であり、実際の賃金との差異が生じる場合があります。この差異が大きくなる場合には、改めてみなし賃金日額を算定する必要があります。
事業主の義務と手続き
事業主は、みなし賃金日額を算定し、労働基準監督署に届け出る必要があります。また、高年齢雇用継続給付金の請求手続きを行う際には、みなし賃金日額に関する書類を提出する必要があります。
まとめ
みなし賃金日額は、高年齢雇用継続給付金の支給額に影響を与える重要な指標です。
複雑な制度ですが、理解することで、企業は従業員の雇用継続を支援し、労働者は安定した生活を送ることができます。
あいせ税理士法人では、高年齢雇用継続給付金制度に関する豊富な知識と経験を持つ専門家が、企業の皆様と労働者の皆様を支援いたします。
みなし賃金日額の計算や高年齢雇用継続給付金の請求手続きなど、制度に関する疑問や不安は、お気軽にご相談ください。
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