個人事業主やフリーランスの方にとって、帳簿の付け方はビジネス運営の重要な一部です。とくにこれからの時期、確定申告のために必要となるでしょう。しかし、帳簿の付け方や必要性の理解はできていないかもしれません。本記事では、帳簿の付け方についての基本的な考え方を中心に解説していきます。
※この記事は現役税理士の木住野祐希監修のもと作成しております。
帳簿の付け方で必要になる基本的な考え方
帳簿をつけることは、ビジネス運営における重要なスキルです。その理由と基本的なルールを理解することで、より効率的かつ正確に帳簿を作成できます。
帳簿の必要性は税務申告の準備とビジネス分析
帳簿は税務申告の準備を助け、経営分析するための重要なツールです。
税務の面からは、以下の2つが挙げられます。
- 良好な税務記録の保持
- 情報の整理
税務調査はいつ行われるかわかりません。有効な対策は、良好な記録を保持することです。記憶が曖昧にならないうちに帳簿を作成することで適切な帳簿ができます。また、情報を順序だてて整理できるため、税務調査で説明を求められても的確な回答ができるでしょう。
ビジネス分析の面からは、以下の3つが挙げられます。
- 競争戦略の理解
- 比率分析とキャッシュフロー指標
- 見通し分析
競合他社と比較するためには、自身の経営状態を把握しておくことが必要です。経営状態の把握ができれば、弱みと強みも理解できるでしょう。
帳簿の情報から、財務分析ができます。キャッシュフローがわかれば、実際の手元資金はどのくらいあるのか、実質どのくらいの経費がかかっているのか把握できます。
帳簿から得られる情報をもとに、将来の財務状況について予測が可能です。これから先の事業展開の役に立つでしょう。
基本的なルールとポイント
帳簿をつける際には、基本的なルールとポイントがあります。これらを理解することで、帳簿を正確につけることが可能になるでしょう。具体的には、以下の5つが挙げられます。
- 帳簿の整理と更新:帳簿は常に最新の状態にしておきましょう。定期的に取引を記録し、帳簿を更新し続けることで、会計作業が煩雑になることを防止します。
- 個人とビジネスの取引の分離:個人の銀行口座とビジネスの銀行口座は分けて管理しましょう。これにより、ビジネスの財務状況を正確に把握し、税務申告を容易にできます。
- 会計方法の選択:企業は通常「現金主義会計」または「発生主義会計」のいずれを選択するため、早めに決定しておきましょう。これらの方法は取引を記録するタイミングが異なり、それぞれビジネスの特性やニーズにより適したものがあります。
- 複式簿記の使用:複式簿記を利用して帳簿を作成しましょう。これは各取引を借方と貸方に記録する方法で、より詳細な情報を提供し、誤りを防ぐための二重チェック機能の役割があります。
帳簿の付け方に関する具体的な手順
具体的な帳簿の付け方の手順について紹介しましょう。
具体的な帳簿の付け方の手順
帳簿をつけるための具体的な手順について紹介しましょう。これらの手順を順番に追っていくことで、正確な帳簿が作成でします。
- 会計方法の選択:現金主義会計、発生主義会計のどちらかを選択しておきましょう。
- 取引の記録方法の決定:取引の記録は、会計ソフトウェアを使用するか、または会計士に依頼するかを決定しましょう。どちらも、メリットとデメリットがあるため、事前に調べてく必要があります。
- 取引の記録:すべての取引(収入、支出、資産、負債など)を記録しましょう。これは通常、複式簿記を使用して実施します。複式簿記についてわからない場合は、専門家に相談しましょう。
- 文書の保管:すべての取引に関連する文書(領収書、請求書など)を保管します。これらの文書は、必要に応じて取引の詳細を確認するために使用されます。
5. 帳簿の更新と整理:帳簿は定期的に作成し、整理しておきましょう。これにより、ビジネスの財務状況をリアルタイムに把握できるため、必要な決定を迅速に行えます。
帳簿の付け方がラクになるツールと参考資料
帳簿作成作業を助けるツールや参考資料について紹介します。
役立つツール
個人事業主やフリーランスが帳簿作成作業を助けるために、会計ソフトの使用を推奨します。インボイス制度もあり、消費税の申告が必要な方も増加していることでしょう。会計ソフトを利用した帳簿作成は、所得税や法人税に必要な情報を整理するだけではなく、消費税の申告に必要な情報も整理できます。
エクセル等ではできない作業になるため、自身にあった会計ソフトを選びましょう。どのようなものが向いているのかわからない場合は、税理士に相談することをおすすめします。
参考になる資料
最近の会計ソフトは、とくに簿記の知識がなくても帳簿作成ができるものがほとんどです。しかし、少しでも帳簿作成の知識を得たい場合には、経理担当者向けの簿記の知識が掲載されている書籍は有効です。また、具体的に目標を定めるのであれば、日商簿記3級の知識が経理業務には相応と言われています。
まとめ
本記事では、帳簿の付け方を中心に詳しく解説しました。これらの情報があれば、誰でも自信を持って帳簿作成作業に取り組むことができるでしょう。どのようなビジネスでも、適切な帳簿の付け方は、事業の拡大には必要不可欠です。ぜひ、これからの帳簿作成の参考にしてください。
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