事業再編とは、企業の体制や構成を変え、新しい事業形態のもとで新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換を行うことをいいます。
会社法上の組織再編を行ったうえで、合併、会社分割、株式交換、株式移転、事業譲渡を実施します。
事業再編は、グローバル化や急速な外部環境の変化に対応するために必要性が見直されています。
※この記事は現役税理士の木住野祐希監修のもと作成しております。
事業再編のメリット
事業再編には、以下のようなメリットがあります。
- 経営資源の有効活用:不要な事業を整理し採算の取れる事業に経営資源を集中させる。限られた経営資源をより効果的に活用し、業績の回復や向上を目指す
- 経営の効率化:複雑な組織形態を事業再編でシンプルにすることで、経営が効率化できコスト削減につながる
- シナジー効果:統合や提携によって、各企業が単独で活動するよりも売上や生産量の改善が期待できる。また、技術やノウハウの共有や相乗効果も期待できる
事楽再編の目的
事業再編の目的は、変化する業界動向に合わせて対応できる組織を作ることです。
具体的には、以下のような目的があります。
- 市場の成熟化や国内人口の減少に対応するために、成長産業への参入や新規事業開発を行う
- グローバル化やデジタル化に対応するために、海外市場への進出やDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進
- 経営者の高齢化や後継者不足に対応するために、M&Aによる事業承継や後継者育成を行う
- コロナ禍などの危機的状況に対応するために、事業の多角化やリスク分散を行う
事業再編の手法
事業再編の手法は、会社法で合併・分割・株式移転・株式交換の4つがあります。
事業譲渡や株式譲渡など会社法には規定されていないM&Aスキームを利用し、事業再編を進めることがほとんどです。
特に事業譲渡は、事業再編で使われる手法の1つです。
事業再編を検討する際は、多くのM&Aスキームから事業再編に適したものを選びましょう。
合併
合併とは、2つ以上の会社を統合し1つの会社にすることです。
一方の会社だけを残し、他方はその会社に吸収されて消滅します。
合併の手法は2つあり、吸収合併と新設合併です。
吸収合併は合併する会社のうちの1社がそのまま存続します。他方の会社は存続会社に吸収され消滅します。
新設合併は、合併のための会社を新しく設立し、既存の会社をその新設会社に吸収する方法です。
合併のメリット
合併のメリットには、以下の3つが挙げられます。
- 規模拡大やシナジー効果によって競争力や収益力を高められる
- 重複する部門やコストを削減できる
- 税務上の優遇措置(損失等の繰越控除)を受けられる
合併のデメリット
合併には以下のような3つのデメリットもあります。
- 異なる企業文化や経営方針の融合に時間やコストがかかる
- 従業員や取引先などの関係者への説明や調整が必要
- 株主から反対意見が出る可能性がある
分割
分割とは、会社の複数ある事業のうち、ほかの企業へ事業の一部を譲り渡すことです。
事業譲渡と似ていますが、事業譲渡は事業資産の売買なのに対し、分割は事業の包括的な承継です。
新事業を現状の会社から独立させて経営したい場合や、不採算事業を切り離したい場合に、分割を利用した事業再編を実施します。
分割のメリット
分割のメリットには以下の3つがあります。
- 事業の特性や戦略に応じた経営体制や財務体質を構築できる
- 事業の価値や収益性を明確にできる
- 事業の売却や提携などの柔軟な選択肢が増える
分割のデメリット
分割には以下のような3つのデメリットもあります。
- 分割する事業に関連する契約や許認可などの移行や更新に手間やコストがかかる
- 分割する事業に属する従業員や取引先などの関係者への説明や調整が必要となる
- 分割する事業に関連する負債や債務を引き継ぐ可能性がある
まとめ
事業再編とは、企業の体制や構成を変え、新しい事業形態のもとで事業の拡大や転換を行うことです。
市場の成熟化やグローバル化などの外部環境の変化に対応するため必要とされます。
事業再編の手法には、メリットやデメリットがあり、検討する際は、自社の目的や状況に合ったものを選ぶことが大切です。
詳しい情報や手法が知りたい方は、専門家に相談しましょう。
合併には税法上の決まりもあるため税理士に相談することで、事業再編の疑問はすべて解消できます。
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