※この記事は現役税理士の木住野祐希監修のもと作成しております。
法人設立に必要な書類の作成
人は生まれたときに出生届を提出することで戸籍を獲得しますが、法人の場合、法人格を獲得するために、法務局で法人登記が必要です。
法人登記するためには定款を作成します。法人登記が完了すると、税務の手続きや社会保険の手続きへと進んでいきます。
定款作成
定款作成には、本店所在地と資本金、発起人を決めなければなりません。
最近増加している副業用の「マイクロ法人」であれば、多くの場合「ひとり社長」なので自分の意見で決定できます。
ただし、発起人である自分と法人は別人格なので定款作成には次の書類が必要です。
- 発起人の印鑑証明書
- 実質的支配者となるべき者の申告書
- 取締役の就任承諾書
- 資本金の払込証明書
上記4つと、公証人役場のホームページからダウンロードし作成した定款について公証役場で承認を受けます。
承認手数料は、資本金が100万円未満の場合は3万円、100万円以上300万円未満の場合は4万円、そのほかは5万円です。
承認を得た定款が電子の場合はCD-ROMやUSBフラッシュメモリなど電子媒体に保存、紙の場合は、公証役場で製本したものを受け取り、法務局で法人登記を行います。
法務局で法人登記
法人登記は、電子で行う場合と法務局へ出向き、紙で提出する場合の2パターンあります。ネット環境さえあれば、自分で電子申請が可能です。どちらの場合も、法人登記申請書と、定款を一緒に申請します。
電子申請と法務局の手続きで異なるのは、電子申請は申請日が設立日になること、法務局の場合は提出日が設立日とはならない点です。
電子申請はマイナンバーカードがあればできます。税務署への提出書類や社会保険の手続きでも使用できるので、マイナンバーカードがあれば便利です。
電子申請時に、法人の実印を作成しておけば一緒に印鑑登録ができます。押印場面は減少していますが、まだまだ必要な場面はあるので社名が決まった段階で作成しておくこと、手続きがスムーズに進みます。
税務の手続き
法務局で登記が完了したら、謄本を取り寄せておきます。
税務署に提出する代表的な書類は下記となります。
- 法人設立届(税務署・都道府県・市区町村)
- 給与支払事務所等の開設届出書(給与を支給する場合)
なお、法人設立届を提出するときは、法務局から取り寄せた謄本を添付します。
そのほか、消費税の課税事業者を選択する場合や、インボイスの適格請求書発行事業者になる場合などにも、届出が必要です。
社会保険の手続き
社会保険の手続きも電子でできます。ただし、社会保険の手続きのみを電子で行う場合には、専用ソフトのダウンロードが必要です。
電子申請の場合、法人番号から自社情報が複写できるので入力ミスを防ぎながら申請手続きができます。
法人設立ワンストップサービスの活用
マイナンバーカードがあれば法人設立に係る手続きをワンストップで完了させられます。また、補助金申請に必要なGビズIDの申請も同時にできるので、申請漏れが防止できます。
(参考:「法人設立ワンストップサービス」)
あれば役立つもの
法人設立に直接関係はないですが、銀行口座開設や営業活動を見据えあると便利なものが次の3つです。
- 名刺
- ホームページ
- 会社案内
名刺は自己紹介代わりになります。最近はネットで口座開設の申し込みができるところが増えていますが、窓口に行かなければならないこともあります。名刺があれば、話す時間が短縮できるので、設立時の時間確保に役立ちます。会社案内も同様に、自社の会社概要を視覚的に捉えられるので、あると便利です。
ホームページもネット銀行を利用するときは、審査の対象に含まれていることがあるので会社概要が分かる部分は作成しておくと便利です。
まとめ
法人設立は、必要な書類と書き方が分かれば自分でできます。
ただし、間違いがあるとそのまま手続きが進みかねません。もちろん差し戻しされる場合もありますが、手間を考えると専門家に依頼する方がいい場合もあります。
多少時間がかかっても問題ない場合は自分で手続きをし、設立したい日や確実に設立作業を進めたいのであれば、専門家に依頼することをおすすめします。
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