住居購入は、多くの人にとって人生で一番大きな買い物でしょう。
多くの場合、20年、30年という長い期間をかけて住宅ローンの返済をするわけですが、毎月コツコツと返済してきた住宅ローン、借り入れた元本の金額が思ったように減っていないと思ったら、一度確認しておきたいところです。
住宅ローンの返済予定表を確認してみましょう
普段、借りた住宅ローンの返済予定表に目を通すことはない、という人も多いのではないでしょうか。住宅ローンの繰り上げ返済や借り換えを検討する場合は、まず返済予定表を確認しましょう。
まず、確認するのは金利です。金利はその時々経済の状況を反映しますから、例えば10年前など、かなり前に住宅ローンを借りた場合、その時のベストな返済計画と金利でローンを契約したことでしょう。
時間が経って、契約内容が思い出せない場合でも、返済予定表で確認すれば、変動金利、全期間固定金利、段階固定金利等、どのような金利タイプで借りていたかもわかるはずです。
そして、特に確認したいのは、現在契約中の金利が、今の住宅ローンの適用金利と大きくかけ離れていないかという点です。
注意したいのが、固定金利と思い込んでいて、「段階固定金利」となっていたことを意識していなかったがために、現在返済中の金利が認識していた金利より高くなっているという場合です。
例えば、旧公庫の住宅ローンを借りて、2002年以前に契約している場合、11年目以降の金利が4%で固定されることになっていますので、心当たりがある場合は一度確認してみるとよいでしょう。
旧公庫の住宅ローンとは?
旧公庫とは、かつて存在した国土交通省、財務省が所管していた政府系の金融機関、住宅金融公庫のことです。
住宅ローン融資の審査が今より厳しかった時代に、公庫は比較的融資が受けやすかったこともあり、また段階固定金利制度の導入により当初10年間は金利が低く設定されていたことで、借りやすい一面もあったかもしれません。
この旧公庫の段階固定金利で借りて、旧公庫で住宅ローンを組んでから11年以上経っている人は、当初の契約に基づき、高い金利が適用されています。
そのため、毎月の返済額が以前よりも多くなって驚いている人もいるのではないでしょうか(住宅金融公庫は、2007年4月1日より現在の独立行政法人住宅金融支援機構に業務が承継されています)。
借り換えシミュレーションを行いましょう
2018年4月現在の住宅ローンの金利を見てみると、主要都市銀行の変動金利は0.470~1.075%、10年固定金利は0.645~1.600%、全期間固定金利(35年固定金利)は1.150~1.730%です。
借りてから11年以上経って適用金利が上がっているという人であれば、これらの金利と手元の返済予定表に記載されている金利は、大きくかけ離れているという場合がほとんどでしょう。そうした場合は、一度、借り換えシミュレーションを行ってみることをお勧めします。
仮に2002年2月に旧公庫で金利2.75%、3,000万円を35年ローンで借りていた場合、2013年2月からは金利が4%に変更になっているはずです。
現在の金利と比較すると、かなり高い金利で返済していることになりますから、今すぐにでも借り換えを検討してみる価値はあります。
上記の例の場合は、16年間返済を続けていますが、借入残高はまだ2000万円以上、返済期間はあと19年間残っている計算になります。
仮にこの2000万円を金利1.350%(A銀行、当初15年固定金利)で借り換えた場合、毎月の返済額約12万円は変わらず、今後15年間で支払う金利額の合計は約210万円になります。
借り換えをせず、残り19年間4%の金利で住宅ローンを支払った場合は、約900万円もの金利を支払うことになるのですから随分大きな違いです。
仮に今から10年後の退職時に、退職金で繰り上げ返済をすると考えていたとしても、その段階でまだ元金が1250万円以上残っているので、退職金から1250万円ものお金を住宅ローン返済に充てることになります。
さらに、それまでの10年間で支払うことになる利息は600万円を超えますので、結局1.350%の金利で借り換えた場合の利息より約400万円も多く支払うことになるのです。
注意点は?
ただし、住宅ローンの借り換えには、手数料や登記費用、場合によっては団体信用生命保険料等の費用も必要になりますので、これらを含めて考える必要があります。
また、一般的には年齢が上がれば上がるほど、健康状態や借入期間等の問題で借り換えが難しくなる傾向がありますので、誰でも借り換えができるわけではない点も注意が必要です。
なお、健康状態の問題で団信(団体信用生命保険)に加入できない場合でも次の選択肢があります。
(1)通常の団信よりも引き受け条件が緩和された、引受基準緩和型団信、いわゆるワイド団信が使える住宅ローンを利用(ただし、通常の団信よりも金利は高くなります)。
(2)団信への加入が必須ではないフラット35を利用(ただし、団信の加入が難しい場合には、新たに生命保険に加入することも難しいため、以前から加入している生命保険があればそれを活用する手も)。
また借り換え時の年齢が高いことがネックになる場合は、返済期間を短く設定することで可能になる場合もありますし、退職金での繰り上げ返済が確実に見込まれれば、年齢が高くても借り換え可能な場合もあります。
いずれも金融機関により判断は異なりますので、相談をしてみるとよいでしょう。
今後の収支を把握し、早めにリタイアメントプランニングを
今回は、金利が11年目以降に上がっていたという、旧住宅金融公庫の段階固定金利の住宅ローンについて見てきました。
そして、対処法として借り換えを主に紹介しましたが、たとえ借り換えが無理でも、繰上げ返済をしてなるべく支払利息を減らすという方法もあります。
人生100年時代と言われている現在、健康寿命とお金の寿命はどちらも大切な問題です。人生の3大資金の1つである住宅資金。高い金利で借りっぱなしでいることで、数百万円も余計な支出をしていることになりかねません。
お子さんの教育資金の目途がついてきたら、夫婦のこれからの人生を見据えて、早めに収支を把握し、老後資金計画を立てることをお勧めします。
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