2020年10月26日、中国メディアの澎湃新聞は、「米国がわざと中国のレアアース埋蔵量を高く見積もり、引き続き安く買いたたこうとしている」とする評論記事を掲載した。
記事は、昨年下半期以降に米国メディアが大々的に「中国のレアアース埋蔵量は世界の38%」という説をあおり立てていると主張。「これは信じられるものではなく、意図的に作られた数字であることは明らかだ」とし、この数字を出している米国地質調査局が世界中のレアアース埋蔵量の実態を完全に把握することは不可能であること、「一部の国」では生産量こそ少ないものの対外的に発表されていない埋蔵量や潜在的な埋蔵量を有していることを挙げ、「データを偽造していないとしても、単に名目上の埋蔵量で中国が世界の38%というデータをアピールすることは問題がある」と指摘した。
その上で、1950~2000年の世界のレアアース供給量についてのグラフを基に、「中国が米国に代わって世界一のレアアース供給国になったのは、決して米国のレアアースが枯渇したからではないことが分かる」と指摘。中国がレアアース生産量を急増させた1990年代に、それまで増加傾向にあった米国の生産量が急降下したことがグラフから見て取れるとし、「米国の生産減は、充足かつ廉価な中国のレアアース供給によるものだ」としている。
そして、際限のないレアアース採掘、開発により過剰な価格競争が起きた上、環境破壊も進んだことから、中国政府は2005年よりレアアース資源の管理を強化し、09年には輸出量割り当て制度を導入したと紹介。これによりレアアースの価格は「正常な水準に回帰」した一方で、西側諸国が「中国によるレアアース規制は多くの国にとって脅威」と喧伝し始めたと伝えた。
記事は、これらの状況を踏まえた上で「中国がレアアースを通じて米国を脅しているというのは、単に米国企業がかつて価格的な理由からレアアース生産を放棄しただけのことに過ぎない」と主張。「今や米国産レアアースは価格面でも技術面でも中国から大きく水をあけられている」とし、「それ故、米国は中国の安くて質の良いレアアース供給を放棄したがらない一方で、中国が輸出量や価格をめぐる発言権を一層強めることも嫌がっているのだ」と論じた。
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