大切なご家族が亡くなった場合、遺族にとって心理的なショックは大きいものですが、金銭的な面でも困ったことが発生することを知っておく必要があります。
預貯金の口座の名義人が亡くなったことを金融機関が把握すると、その口座は凍結され、お金を引き出すことはもちろん、送金や公共料金などの引き落としもできなくなります。
これは、亡くなった方の預貯金が遺産とみなされ、財産を受け継ぐ人やその分け方が正式に決まるまでは勝手に引き出されないようにするための措置なのです。
口座が凍結された場合、亡くなった方の出生から死亡までの連続した戸籍謄本、相続手続き依頼書、相続人全員の戸籍謄本と印鑑証明書、遺言書などを金融機関に提出することで凍結を解除してもらえます。
かつてはすべての金融機関にそれぞれの書類を提出する必要がありましたが、2017年の5月末から「法定相続情報証明制度」という相続手続きを簡素化する制度が始まりました。登記所(法務局)でこれを交付してもらうことによって金融機関に提出する書類を少なくすることができるようになりました。
必要書類に相続人全員の戸籍謄本があります。全員にすぐに連絡がつけば問題ありませんが、中には全く連絡先がわからない相続人がいることもあります。
また、財産の分け方についてみんなが納得して分割協議がすぐにまとまればいいですが、財産の分け方についてお互い同意できずにいつまでももめることも考えられます。
遺産をめぐっての争いは、必ずしも遺産が多額の場合ばかりでなく、それほど多い金額でなくても裁判になるケースが増えています(平成26年の司法統計では、遺産分割事件総数8664件に対して、遺産総額1000万円以下が2764件(全体の32%)。
いつまでも分割でもめてしまうと残されたご家族が葬儀資金や生活費などを引き出せずに困ってしまう場合も考えられます。そんな時のために、日頃から生活費の管理は夫の口座だけてなく妻の口座にも分けて行うといいでしょう。
ただし、多額の現金の移転は贈与とみなされるケースもありますので注意が必要です
金融機関によっては葬儀費用などの一部の金額は簡単な書類で引き出しの対応をしているところもありますが、必要な資金が全額出せるとは限りません。
口座の名義人が亡くなったときにすぐに必要なお金に関しては、名義人が生きている間であれば生命保険を使って対策をとることが可能です。生命保険に加入して(または既契約の保険の)受取人を指定することによって、相続後数日で指定された受取人がすぐに現金を受け取ることが可能になります。
また、生命保険に関しては「受取人固有の財産」として、分割協議しなければいけない財産の対象外になりますので、いわゆる「争続」の対策としても有効です。
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