無印良品は6月30日に北京市前門の北京坊エリアで、「レストラン+ショップ+ホテル」の多業態旗艦店をオープンした。無印の関連部門の責任者は、「この店は主にイメージ旗艦店の役割を果たすことになる。無印の中国市場重視の姿勢を示すものでもある」と話す。だがアナリストは、「ショップ、レストラン、ホテルのさまざまなブランドが集まる前門商業圏で、無印は有利な場所に出店したが、競争や挑戦にも直面している」との見方を示した。北京商報が伝えた。
前門の消費クラスターの中心は観光客で、ショップとレストランでの消費の頻度が相対的に高くなる。旗艦店の日本側責任者は、「会社は中国市場の開拓を非常に重視している。前門は立地がよいこともあり、新たな顧客資源を大勢誘致することが予想される。イメージ基幹店の役割を果たして欲しい」と述べる。
同店は5階建てで、地下1階に無印良品のショップがあり、1階にはカフェ、レセプション、購入可能なブックラウンジ、4階にはルーフトップテラスを備えたレストランがあり、バータイムもある。ショップの中をのぞくと、お隣にあるスターバックスの紙コップを持っている人が多かった。
ショップの面積は大きく、建物全体の4分の1を占め、客室に次ぐ大きさだ。充実した品揃えで、客室の備品はすべてここで買うことができる。これまで一部の直営店が力を入れてきたソファーセットとスタンプコーナーもある。オープンした最初の週はセールイベントが行われ、商品が10~30%オフになった。消費者によると、「この店の商品の一部は一定額以上を購入すると割引きになるものも含め、割引き後の価格が日本の直営店とほぼ変わらなくなる」という。
このMUJIホテルの飲食部門責任者・濱岸健一さんは、「前門は北京のランドマーク的エリアの一つで、無印良品が前門北京坊に進出できてイメージ旗艦店を開設できたことは、無印ブランドにとっては中国市場で絶好の展示チャンスを獲得したことにほかならない。ここから無印良品が中国市場を重要な配置の一部とみていることがわかる」と述べる。
無印ブランドの業績をみると、現在の中国市場での業績は安定的とはいえない。2017年度決算データによると、大陸部での業務収入は688億9800万円で前年比25.4%増加したが、売上高の四半期別増加率は、第1四半期が5.8%、第2四半期が1.8%、第3四半期が7.1%、第4四半期が4%だった。
無印良品が中国市場を重視していることは、最近の頻繁な値引きと出店からもその一端がうかがえる。
無印良品はこれまで中国で「新定価」を何度も発表している。成都市と上海市に相次いでカフェ「Cafe & Meal MUJI」を併設したクロスオーバー店を開設し、1月には深セン市の深業上城に「レストラン+ショップ+ホテル」の多業態店をオープン。6月には北京の世貿天階にショップができ、同じく北京の中糧祥雲小鎮のショップもまもなくオープンする予定だ。
無印良品の公式サイトをみると、このMUJIホテルは客室が6タイプあり、料金は550~3210元(約9300~5万4000円)、現在は予約で埋まっている。生活サービスプラットフォーム・大衆点評をみると、一部の消費者から、「客室の料金が高すぎる」、「前門なら1000元(約1万7000円)を超えてはダメ。500~800元なら泊まってもいい」といった声が上がる。
派尚服飾搭配学院の康藍心院長は、「このホテルの価格設定は高すぎる。若い人が好むフレッシュでシンプルなイメージで、旅行で泊まるのにはよいが、価格はビジネスマンクラスターの水準で、にもかかわらずビジネスマンが求める品質には達していない。ターゲットとする顧客クラスターが不明確で、価格面でもイメージ面でもどっちつかずになっている」との見方を示した。
だが無印良品の関連部門責任者は、「MUJIホテルは『無印系』のクラスターを主なターゲットにしている。無印ファンの方、無印ブランドを理解してくださる方に来ていただきたい」という。
今回、同旗艦店は前門にオープンし、立地はすばらしいが、前門商業圏全体からの挑戦にも直面することになった。
資料によると、前門商業圏の歩行者天国の普段の一日あたり歩行者数はのべ15万人で、祝休日はのべ30万人以上になり、消費クラスターの中心は観光客だ。北京坊の第一期店舗の業態をみると、飲食店が25%を占め、局気、スタバ、北平花園などの人気レストランは無印良品のライバルになるとみられる。
無印良品のショップは生活雑貨とホームインテリア商品が中心で、カフェの営業時間は細かく区切られており、提供されるメニューは無印良品の自社製品が多い。観光客の消費が中心の北京坊では、「無印系」の固定ファン以外の一般の観光客が同旗艦店で買い物をしたり食事をしたりする必然性はないといえる。
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