「Toshiba、Toshiba、新時代の東芝!」。東芝映像ソリューション(TVS)のこのCMのフレーズが以前中国で人気になり、今でも多くの人がそれを覚えている。しかし、この世界的に有名な日本のテレビブランドは今後、中国企業となる。中国新聞網が報じた。
ハイセンスがTVSを買収
東芝はテレビ事業などを担うTVSを中国の家電大手・海信(ハイセンス)に譲渡することを14日に発表し、これまで囁かれていた買収のうわさが真実であることが確認された。
ハイセンスと東芝の共同発表によると、TVSの株式95%を129億円でハイセンスに売却する。売却が完了次第、ハイセンスはTVSの商品、ブランド、運営、サービスなどの全ての事業を引き継ぐ。売却は来年2月末までに完了する予定という。
ハイセンスの関連の責任者は取材に対して、東芝株式会社が今後もTVSの株式5%を所有することを明らかにした。
中国の電子視像業界協会の彭健鋒・副秘書長は、「ハイセンスのTVS買収はウィンウィンの提携。ディスプレイ産業チェーン全体が少しずつ中国へ場所を移しており、東芝がTVSを経営し続ける意味があまりなくなっている。中国のメーカーと提携すれば資源の効果的な配置と利益の最大化を実現できる」と分析している。
日本のテレビが衰退 出荷量トップ5に残るのはソニーだけ
1990年代半ばから後半にかけて、康佳、長虹、ハイセンス、TCL、創維などの中国のブランドが台頭し、TVSを含む海外のテレビブランドは大きなプレッシャーを受けるようになった。2010年の時点で、中国の液晶テレビの販売台数は年間3500万台を超えたものの、そのうちTVSは50万台にも届かなかった。
2010年、東芝の世界での液晶テレビの販売台数は1400万台と、世界シェア8%を占めたものの、中国や韓国のブランドの熾烈な競争を経て、11年からは毎年赤字経営となり、複数回の業務改革を実施したものの、回復には至っていない。欧米市場での自主研究開発や生産、販売から撤退し、13年末には中国でのテレビ自主生産を停止した。
現在、TVSなどの日本のブランドは世界の出荷台数トップ5から姿を消し、コンサルティング会社・WitsViewの統計によると、16年、世界の液晶テレビ出荷台数トップ5は、サムスン、LG、ハイセンス、TCL、ソニーだった。15年の出荷台数と比べると、サムスンが横ばい、LGとソニーは減少しているのに対して、中国ブランドのハイセンス、TCLは国外市場の出荷台数が増加したのを背景に、それぞれ1330万台と1320万台に達した。
台頭する中国ブランドが世界に進出
近年、中国のテレビブランドが相次いで世界に目を向けた戦略を打ち出している。前出のハイセンス責任者は、「ディスプレイ技術を皮切りに、当社は現在、家庭、コミュニティ、スマート都市をめぐる産業生態を構築しており、世界戦略を推進している。近年、W杯やUEFA欧州選手権、全豪オープン、F1など、世界的なスポーツ大会のスポンサーになっており、米国や欧州市場で高成長を実現している。中国市場以外に、当社のテレビは南アフリカやオーストラリアでもトップの座に座っている」としている。
彭副秘書長は、「ハイセンスのグローバル化戦略はすでに始まっており、TVS買収と自身の世界市場での知名度と高評価を武器に、ハイセンス、東芝のダブルブランド戦略で海外市場でのシェアを一気に拡大できるだろう。また、日に日に加熱する特許問題も、東芝が貯める多くの特許の力を借りて、ある程度解決できるだろう」と予想している。
東呉証券の研究報告によると、テレビの世界での販売台数は年間約2億台で、調査会社・中怡康の1台平均2000元(約3万4000円)で計算すると、テレビ産業の市場規模は4000億元(約6兆8000億円)。5-10年ではその規模が1兆元(約17兆円)になる。現在、LEDやレーザーテレビの爆発的人気により、業界は再び輝きを取り戻すかもしれない。
ハイセンスグループの総裁を務める、ハイセンス電器の劉洪新会長は、「買収後、当社は双方の研究開発、供給チェーン、世界のチャンネル資源を一つにし、市場規模を速やかに拡大させ、グローバル化を加速させる」としている。
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