中小企業の事業承継を支援するため、政府は今後10年間を政策の「集中実施期間」にする方針を固めた。事業の引き継ぎや買収をしやすくする税制改正を検討するほか、年内に編成する補正予算で200億円規模の対策費の計上もめざす。
背景には、経営者の高齢化が進む中、後継ぎが決まっていない中小企業が増えていることがある。経済産業省の推計によると、経営者が60歳以上で後継者のいない中小企業や小規模事業者は127万あり、日本企業全体の約3割を占める。経営者は70歳前後で引退することが多く、2016年に3万社に迫り過去最高だった中小企業の休廃業・解散が、今後10年でさらに増える恐れがある。
政府・与党は対策として、年末にまとめる来年度の税制改正大綱で、中小企業の後継者にかかる相続税や贈与税を優遇する「事業承継税制」を抜本的に拡大する検討に入った。
現行の制度は、「5年間は平均8割の雇用を守る」「納税猶予は株式の3分の2まで」といった制限があり、利用は年約500件と対象の1割程度にとどまっていた。自民党の宮沢洋一税制調査会長は「これまでの常識にとらわれず、徹底的に中小企業の経営者の世代交代を進める」と話し、雇用条件の緩和や、納税を猶予する株式を拡大する方向だ。納税を免除する案もある。
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