台湾メディアのアップルデーリーは5日、台湾では中国への輸出を差し止められたため、パイナップルの対日輸出が増加したが、売り込み競争のために価格が暴落したと伝えた。その他の果物でも、価格の下落が発生しているという。
中国は3月1日に、「有害生物の存在」を理由に台湾からのパイナップル輸入を停止した。そのため、台湾では日本市場に販路を求める動きが発生した。台湾から日本に対するパイナップル輸出は、2020年には2000トン余りだったが、台湾・農業委員会の陳吉仲主任委員によると、3日時点での日本側による台湾パイナップルの購入予約量は5000トンであり、それとは別に1200トンの追加購入を連絡してきた業者もあり、合計では6200トンに達するという。
最近では、パイナップルの対中輸出を手掛けていた業者が、日本への輸出に切り替えようと望んでいる。台湾当局は業者に対して、品質が劣るパイナップルを高級品と称して日本に売り込まないよう、指導を強化しているという。
台湾の業者にとって深刻なのは、悪性の価格競争が発生していることだ。パイナップルの価格はこれまで比較的安定しており、過去2年間は産地からの出荷についての目標価格は、キロ当たり21台湾ドル(約81円)を維持してきた。しかし現在はキロ当たり13台湾ドル(約50円)程度と、価格が4割程度下落している。
パイナップルだけではない。台湾東部では、バンレイシ(釈迦頭)とチェリモアを掛け合わせて作られたアテモヤ(鳳梨釈迦)という果物の価格も下落した。大きな原因の一つが、大陸側が検疫を強化していることだという。
アテモヤは収穫後、冷蔵保存しても5日程度しかもたず、通関に時間が掛かると熟しすぎてしまう。そのため、流通業者も買い控えをしており、キロあたり100台湾ドル(約388円)だった価格が80台湾ドル(約310円)程度になったという。
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