政府・与党は、日本からの出国時に1人1回1000円を徴収する新税について、名称を「観光促進税」から「国際観光旅客税」に変更することを決めた。2019年1月7日から導入する。18年度税制改正大綱に盛り込む。
国際観光旅客税は、日本人、外国人を問わず日本を出国する旅行者らから、航空券などの代金に上乗せして徴収する。2歳未満の子どもと、海外から到着して24時間以内に出国する乗り継ぎ客は除外する。16年の出国数約4100万人(日本人約1700万人、訪日客約2400万人)で計算すると、約410億円の財源規模となる。政府・与党は当初、19年4月の導入を検討していたが、中国からの観光客が増える旧正月(2月)前で、日本人の年末年始の休暇が終わる1月初旬に前倒しした。
税収は、観光関連の政策に使う。具体的には▽出入国手続きの円滑化▽海外での誘致宣伝強化▽地域観光資源の整備--などを想定。税収は、無駄遣いが指摘される特定財源とはせず、一般会計に入れて配分する。
ただ、一般会計だと観光以外の政策に多く使われる可能性がある。そのため、政府は年明けの通常国会に観光関連の法案を提出し、財源の多くが観光関連の政策に振り向けられるようにする方針だ。
出国時に税金を徴収する構想は今年夏に急浮上し、新税としては異例のスピードで導入が決まった。安倍晋三政権は、東京五輪・パラリンピックの開かれる20年に訪日客を4000万人に増やす目標を掲げており、導入には「官邸の意向が強く働いた」(経済官庁幹部)という。そのため、与党税制調査会の会合では異論は出ず、あっさりと導入が決まった。
しかし、旅行業界からは「格安航空会社などは運賃水準からすると少し影響が大きい」(片野坂真哉・ANAホールディングス社長)との懸念が出ているほか、国際線利用者からも「日本人にどのような恩恵があるのか疑問」(羽田空港から中国・上海に出張した62歳会社員)と不満が出ている。新税はそんな声を置き去りに見切り発車する形で、納税者が納得できるような税収の使い方ができるかが問われそうだ。
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