2017年11月8日、中国・習近平政権の有力ブレーンである胡鞍鋼・清華大学教授・国情研究センター長が東京都内の日本記者クラブで会見し、2035年には中国は世界最大の経済国家となり、国内総生産(GDP)は世界の30%に達するとの見通しを明らかにした 。また日米首脳会談で打ち出された「インド太平洋戦略」について、世界に広く公共財を提供する中国主導の「一帯一路(海と陸のシルクロード)」構想とは異なるとの見解を示した。胡教授は中国経済学界の重鎮で、著書『習近平政権の新理念』の日本語版(日本僑報社)を8月に出版した。発言要旨は次の通り。
中国は10月の共産党大会を経て、新たな時代と目標達成に向けて踏み出した。新ガイドライン(イノベーション、調和、グリーン、開放、わかち合い、安全など)に基づいて、構造改革と経済成長を両立させ、(1)絶対的貧困の撲滅、(2)環境汚染の減廃、(3)技術革新(イノベーション)―などを推進することになった。
中国は2035年には世界のGDPの30%のシェアを占めるようになる。それまでに1人当たりのGDPも急拡大、「中所得国の罠」(中進国が経済発展の限界に直面すること)をクリアする。研究開発投資額も米国を凌駕し、格差も著しく縮小。平均寿命も80歳程度に伸びる。CO2排出量は大幅に低減し、環境問題が解決する。経済社会の改革・革新が進展しや新興企業が急増して高い経済成長を維持する。
中国はやがて人口減少に転じ、高齢者人口(現在約2億2000万人)が2040年には約4億人に達する。しかし中国の労働就業率は56%以上と総人口の半分以上の水準を維持するため、懸念することはない。労働生産率も高水準を保つので、労働人口が減っても経済成長を維持できる。2020年〜2035年に5.7倍程度になる。米国の労働生産率の1.3倍程度と比較しても、高い水準維持し、優位を保てる。
トランプ大統領と習金平主席は数次の会談を通じて、中米が共同で大国関係を推進していこうと話し合っている。今回の中米首脳会談でもこの方向が確認されるであろう。
(日米首脳会談で打ち出された)「インド太平洋戦略」の中身は不明だが、中国主導の「一帯一路」構想とは異なるのではないか。「一帯一路」構想は、世界に広く公共財を提供し、インフラ投資の発展に寄与するもので、各国がウィンウィンとなるフレームを作っていくもの。覇権的なものではなく、どの国の参加も歓迎し、世界に平和をもたらすものだ。
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