中国メディアの財新網によると、中国南方航空は29日、河北省で建設が進められている雄安新区に新たな航空会社を設立する計画を明らかにした。中国南方航空が総額100億元(約1675億円)を全額出資する考えだ。
雄安新区は北京市に近い河北省保定市の雄県、容城県、安新県を中心地域として、北京市・天津市・河北省の一体開発を目的に設立された。中国では地方間の政府や共産党組織の競争意識が極めて強い。そのため、複数の行政区域にまたがる一体開発は、関連する地域の利害を調整せねばならないので実現が難しい。
北京市の場合、海には面しておらず、大規模な港湾がある天津市との間に、さらに河北省の一部が入り込むなど、行政区画が複雑だ。「港までの道が遠い」ことが北京市の発展の障害になっており、北京市と周辺地域の一体開発が必要だとする声は1990年代にはすでに強まっていたが、なかなか本格化しなかった。
2つの中央直轄市と1つの省にまたがる雄安新区の設立は習近平国家主席の強い意向により2017年4月に正式スタートした。広東省における深セン、上海市の浦東新区の開発に続く国家プロジェクトとしての開発であり、「千年の大計、国家の大事」とまで称される大計画だ。
北京市内の大学や医療機関、研究機関などを雄安新区に移転する構想が示されている。また、雄安新区に近い北京市大興区と河北省廊坊市の境界地域では、北京大興国際空港の建設が進められており、開港予定は2019年9月とされる。国有企業を含む大企業も同区に移転する可能性があるとされているが、現在のところはうわさの段階にとどまっている。ただし、中国共産党も中国中央政府も雄安新区に「政治や行政などの首都機能を除く北京市の機能を移転させる」構想を示しており、今後は同区への企業移転が加速する可能性もある。
中国南方航空は広東省広州市に拠点を置く中国最大規模の航空会社であり、北京市を拠点とする中国国際航空、上海市を拠点とする中国東方航空と並ぶ中国三大航空会社のひとつともされる。中国南方航空は新子会社設立の目的を、「北京に拠点を設立することにより、広州-北京というダブル枢軸の戦略布陣をさらに有利に進めるため」と説明したという。
出資金は計100億元相当で、うち25億元(約419億円)は現金で、75億元(約1256億円)分は航空機の譲渡によるという。
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