エアバックの破裂問題により多くの消費者が負傷し、自動車メーカー各社による大規模なリコールが生じたタカタは破産申請を余儀なくされているが、このほど新たな身売り先が名乗りを上げている。証券日報が伝えた。
海外メディアの報道によると、寧波均勝電子傘下の子会社「キー・セーフティ・システムズ(KSS)」が米国でタカタ買収の関連文書を提出し、その取引額は15億8800万ドルとなっているという。
均勝電子は11日、取引はまだ交渉段階であり、すべての協議書への署名を終えてはじめて今回の買収を完了することになると表明した。
招商証券の汪劉勝アナリストは、「順調に進めば、KSSはタカタの20%のシェアを手にし、市場シェアで世界2位になる。これにより均勝電子が新たな業績を記録することになる」と話した。
しかし自動車アナリストの顔景輝氏は、「KSSのタカタ買収で最も重要になるのは、コア技術の把握だ。これができなければより大きなプレッシャーに直面する」と指摘した。
ところが6月26日に発表された公告によると、今回の双方の買収意向は、タカタの相安定化硝酸アンモニウム(PSAN)インフレーター以外の資産に向けられたもので、タカタの「問題エアバッグ」の関連事業は含まれないことになる。
均勝電子の広報担当である陳陽氏は、「当社がKSSを通じ資産を買収し、タカタの破産管理委員会に支払われる。委員会は自ら賠償と訴訟の処理を行う。タカタ側が今後いかにエアバックのリコールを処理するかについては、当社とは関係がない」と話した。
■市場シェアを争奪
アナリストは記者に対して、「タカタは自動車業界で地位を占めており、これが失われることはない。均勝電子はそのブランドと生産能力に目をつけた。買収後はその特許と技術を移転するが、これは買収にかかる費用以上の価値を持つ」と述べた。
全国乗用車市場情報連席会の崔東樹会長は、「中国企業の海外進出は良い傾向だ。16億ドルで日本企業を買収しても割に合う」と判断した。均勝電子は、今後の経営でタカタ製エアバッグのリスクを切り離すと強調した。
グローバル企業を引き継ぎ経営するのは、想像するほど簡単ではないと指摘する声もある。タカタは各国で事業展開しており、取引の交渉は難航が予想される。新企業は新たな法人となり、タカタのリコール問題による債務を引き継がない。しかしKSSと均勝電子にとって、買収後にリコールによる悪印象を早期払拭することが差し迫った難題となる。
均勝電子は買収について慎重な姿勢を示している。同社が11日に発表した公告によると、今回の取引はタカタ破産管理委員会、世界主要完成車メーカーによる取引先グループなど各方面に関わるため、同時に一連の協定に署名し各自の内部手続を終えなければ、資産買収がその効力を発生しないという。
そのため取引に関わる目標資産は、世界各国・地域の司法手続きに基づき処理を行う。買収協定はさらに世界各地の裁判所や独占禁止部門の許可が必要であり、実現されるかは不透明だ。このため取引は長期化する見通しだ。
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