中国国家統計局は21日にさまざまな重要データを発表し、中でも人口に関するデータが特に注目を集めた。同データによると、2018年の中国の出生数は1523万人で、17年の1723万人より200万人減少した。出生率は数十年ぶりに最低を更新した。「北京商報」が伝えた。
1500万人は守ってはいるものの、多くの人口問題専門家の予測を上回っていたが、ネットには中国の人口はマイナス成長になったとか、人口ボーナスは消滅したとかいった見方が現れた。これに対し、同局の寧吉■(吉へんに吉)局長は21日のコメントの中で、「2018年の中国の人口はプラス成長を維持し、出生数は1523万人で、このうち『2人目』が相当数に上り、なかなかの数字だといえる。また生産年齢人口は約9億人おり、中国の人口ボーナスは引き続き存在する」と述べた。
出生数の持続的減少は、実は想定内のことだ。「二人っ子政策」は登場してから間もないのに対して、一人っ子政策は長らく浸透してきたのであり、人々の「習慣」を短期間で変えることは難しい。一方で、中国は今、高い品質の発展という段階へ前進している。人類社会の発展法則を踏まえると、ある国で近代化と工業化が発展して一定の段階に到達すると、子どもを産み育てることに関する文化や意識に変化が起こり、出生数も出生率も低下するのが一般的だ。人口がマイナス成長になってもおかしなことではない。
21世紀になり、中国の人口問題専門家は中国が人口減少と高齢化の危機に直面する可能性を認識するようになり、子どもに関する政策の改革が検討段階から実施段階まで駆け足で進んだ。今振り返ると、まさしく中国の人口規模の大きさが、改革開放後の経済繁栄を支える人口学的な基礎を基本的に形成したといえる。
人口増加と経済発展は互いに関連しあうことが多い。人口の適切な増加がもたらすメリットは多く、若者が結婚して子どもを産み育てれば大きな消費が生まれ、現時点での中国の消費高度化にを推進する役割を果たすことは間違いない。反対に、高齢化し人口が減少する社会では、経済が活力を維持することが難しい。人口が急速に高齢化し、年金制度の破綻の危機が日々濃厚になり、若年労働力が減少し、出生時男女比が不均衡になるなどが、経済発展に一連の問題をもたらすことになる。
ボーナスはまだあるが、人口の曲がり角は必ずやって来る。中国が今の段階で直面する人口減少の悩みは、ほぼすべての先進国が近代化プロセスで遭遇するものだ。積極的な政策をとって出生規模を拡大しなければ、人口減少がもたらす不安を解消することはできない。
現在、カギとなる問題は、人口が高齢化し減少する状況の中、政府がどうやって合理的かつ科学的に公共政策を制定するかであり、これは社会保障制度が子どもを産み育てることへの不安を解消できるかどうかに関わることであり、子どもを産み育てたいという意欲を新たにかき立てることができるかどうかにも関わってくる。都市の生活コストは高止まりし、教育資源は不足し、現代人に「子どもを産もうと思わない」、「子育てに悩む」という子どもにまつわる不安をもたらしている。
子どもに関する政策を「正確に打ち出す」ことがいつにもまして重要になっており、タイミングをみて関連の政策を整備したり、個人所得税改革などで子どもの教育費を控除の対象にしたり、子どもに関する政策と社会経済に関する政策との対応や連携を促進したりしなければ、より多くの家庭が安心して子どもを生み育てることはできない。
これから活力ある経済を維持していくにはどうすればよいか。中国は今、経済が高度成長から中高速成長へとギアチェンジしているところで、介護や医療などの福祉システムをしっかりと構築して、高齢化が進む中所得者層の希望を満たすにはどうすればよいかを考えることが、後顧の憂いを断つだけでなく、人口をめぐる不安に対して早めの備えになる。現代社会の人口学的な理解は「マルサスの罠」をすでに超えており、人口ボーナスの追求は、今や一刻の猶予もなく、注意深く考え直さなければならない時期に達したといえる。
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