3月と4月には毎年、中国の就職シーズンのピークが訪れ、「金の3月、銀の4月」などと言われている。大勢の若者がこの時期にこれまでの雇い主の下を去り、新しい雇い主を探す道を選ぶ。調査によると、労働者が安定して働くかどうかにおいて、年末ボーナスの与える影響がますます大きくなり、ボーナスがあるか、どれくらいあるかが、転職を決める重要な要因になったという。
ここ3年ほどで、北京市第二中級人民法院(地裁に相当)が審理した年末ボーナスがらみの訴訟は179件あった。2015年は18件、16年は60件、17年は101件で、年々増加している。これら案件のうち、11月から翌年3月までの春節(旧正月)前後に退職したというケースが多く、全部で115件に上った。
同法院民事審判第五庭の竇江涛(ドウ・ジアンタオ)副庭長の説明によると、「現在、年末ボーナスが収入に占める割合が増大する傾向にあるとともに、年末ボーナスの権利をめぐるトラブルもこれにともなって増えている」という。
調査研究によると、80後(1980年代生まれ)と90後(1990年代生まれ)の労働者が提起した訴訟の割合が高く、全体の70%を占める。80後の労働者はキャリアの上昇期・成長期にあるとともに、家庭からくる圧力が大きいため、ボーナスへの注目度が高い。90後の労働者は働き始めて間もない人がほとんどで、学歴と能力は高く、自分の感覚や感情を大切にし、公平さや合理性をより重視している。90後と雇用主側とのトラブルは、90後の「ちょっとでも違和感を感じれば退職する」という傾向と大いに関係がある。
世界の働く人々のためのSNS・リンクトインが18年に発表した報告書「初めての仕事のトレンド洞察」のデータによると、働き始めて最初に就いた仕事の平均在職期間は世代を追って短くなる傾向があり、70後(1970年代生まれ)は4年で新しい仕事に就き、80年は3年半、90後は急に短くなって19カ月、95後(1995年から1999年生まれ)はなんと7カ月で仕事をやめる道を選ぶという。
90後がすぐに最初の仕事をやめることから、彼らがより自主独立の道を追い求め、自己実現を重視し、実際の仕事と自分の期待が一致しなければすぐに他の選択肢を選ぶ様子がうかがえる。また、現代は就職情報や就職のチャンスを手に入れるチャンネルがますますスムーズで便利なものになっており、転職がより容易で当たり前のことになったといえる。
竇氏は、「80後と90後にはいくつかの新たな特徴がみられ、ますます多くの若者は、仕事に対する態度が上の数世代の人々とはまったく違うものになっている。以前は、人々は雇用主とよく話し合うことを望んだり、ボーナスをもらってやめたりしていたが、今の若者はそんなに悠長に構えてはいない。若者はボーナスとは法律法規に基づいて自分が受け取るべき報酬であり、自分がやめるやめないにかかわわらず、必ず支給されるべきものと考えている」と説明する。
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