36協定とは労働基準法第36条に基づく労使協定に由来しており、過労による離職が相次ぐ中、労働者がワークライフバランスを保ちながら働くための環境を守るために制定されました。政府をあげた働き方改革が推進される中で1994年4月から施行され、時間外労働の上限を超えて働かせた企業には厳しい罰則が科せられるようになりました。使用者と労働者の間で36協定を締結し、最寄りの労働基準監督署に協定届を亭主することも義務付けられています。
36協定が必要になるケース
労働基準法では1日の労働時間は8時間まで、1週間で40時間までと定められているのをはじめ、休日は週に1日以上とされています。これらの範囲を超えて労働させる場合、使用者と労働者の間で36協定を締結する必要があります。時間外労働を行う業務の内容やそれに携わる人員、想定される残業時間に加えて時間外労働が必要になる理由も添えて、使用者と労働者の双方が同意して36協定の締結が行われます。
理由には繁忙期で一時的に業務を拡張したり、大量受注があった際に対応するなどがありました。使用者側は企業の経営者や工場長など、労働者側は従業員の過半数を超える者が所属している労働組合の代表がそれぞれ担当し、どれだけの時間外労働を行うのか、割り増し賃金はいくらになるのかなど交渉を積み重ねます。双方が納得して締結まで至れば36協定書と36協定届を作成し、36協定届は最寄りの労働基準監督署に提出する義務があります。
労働者の健康を守るために行うこと
36協定では時間外労働を課すことになるため、労働者の健康や福祉を確保するための措置をとることが求められています。以下にあげるいずれか、または複数の措置をとることが必要です。医師による面接指導や健康診断、産業医などによる助言や指導、深夜の業務の回数制限、終業してから次の始業まで休憩を入れるインターバル規制、振替の休日や特別な休暇の付与、連続休暇の取得があります。
さらに心と体の健康問題についての相談窓口の設置するだけではなくその存在を労働者に周知したり、希望をすれば配置転換を検討することも必要です。時間外労働を課すからには心身ともに何らかの影響をうける懸念があり、それらを払拭して健康を守るために、これらを施策を実施することが大切です。法律ではいずれか、または複数とされていますが、できるだけ多くの施策を取り入れて労働者をしっかりと守りたいところです。
電子申請により届出が簡単に
これまで36協定届は提供されている書面に必要事項を記入して、使用者と労働者の署名と捺印をして最寄りの労働基準監督署に提出する義務がありましたが、現在は電子申請を受け付けており、オンラインからの提出も可能になりました。専用サイトに用意されているフォームに入力したり、チェックボックスをオンにするなど提出までにかかる手間が大幅に削減できるだけではなく、署名や捺印も必要ありません。
以前は労働者の代表が使用者から指名されたものであることを記載する際には人物を間違えるなどのトラブルがありましたが、電子申請ではこれらひとつひとつを確認するチェックボックスがあり、ヒューマンエラーを防ぐことができます。また、書面の場合は何度も労働基準監督署まで足を運ばなければならなかったところ、電子申請なら本社に設置されているパソコンなどから一括で申請することが可能です。
まとめ
労働者に時間外労働を課すことは大きな決断となりますが、心身もとに健康を守るために適切な休暇やインターバル、割増賃金などを与えることが大切です。これまでは曖昧なままで行われてきたことが多かった中で、36協定が義務付けられたことで使用者と労働者の双方が納得してからそれらの労働を行うだけではなく、労働基準監督署からの目が入ることでより厳格に行えるようになりました。使用者と労働者の健全な関係があってこそ業務が円滑に動き出すことから、時代の要請に応える協定です。
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