はじめて税務調査を受けるとき、気になることは「何を調査されるのだろうか」ということではないでしょうか。
本記事では、税務調査の概要から調査のポイントまで解説しています。
まだ調査を経験したことがない事業者の方も参考にしていただき、今後の会計処理に役立ててください。
※この記事は現役税理士の木住野祐希監修のもと作成しております。
税務調査とは?
税務調査とは、税務署が法人や個人の申告内容が正しいかどうかを確認するために行う調査のことです。
税務調査は、事前に通知される場合と突然行われる場合があります。
税務調査には、以下のような種類があります。
一般調査 | 申告内容全般について質問検査や実地調査 を行うもの。 |
特別調査 | 不正や脱税が疑われる場合に行われる厳し い調査。捜査権限を持つ国税局の職員が実 施。 |
簡易調査 | 申告内容の一部について質問検査や書類提 出を求めるもの。比較的簡単な調査。 |
税務調査がくる頻度と対象
税務調査は、すべての法人や個人が受けるわけではありません。
税務署は、法人や個人の申告状況や業種、規模などをもとに、税務調査の対象となる法人や個人を選定しています。
一般的には、下記の法人や個人に税務調査が来やすいと言われています。
- 黒字の事業者
- 消費税の還付を受けた事業者
- 売上や利益が急激に増減した事業者
- 多額の非経常的な経費を計上した事業者
- 決算書の内容が不自然な事業者
税務調査が来る頻度は、法人や個人によって異なりますが、平均して4~5年に1回程度と言われています。
ただし、不正や脱税が疑われる場合や新設法人の場合は、3年目に税務調査が来ることもあります。
税務調査でチェックされる5つのポイントと対策
税務調査では、税務署は下記のようなポイントを重点的にチェックします。
- 売上計上時期が間違っていないか
- 交際費が妥当か
- 在庫の計上漏れがないか
- 売上の計上漏れがないか
- 架空人件費がないか
上記について、詳しく解説していきます。
1.売上計上時期が間違っていないか
売上は、商品やサービスを提供した時点で計上することが原則です。
しかし、売上を意図的にずらしたり、ミスで間違った時期に計上したりする場合があります。
税務署は、売上の計上時期を確認するために、領収書や納品書などの証拠書類をチェックします。売上の計上時期を間違えないように、日々の記帳を正確に行うことが対策です。
2.交際費が妥当か
交際費とは、得意先や仕入先などの事業関係者に対して、接待や贈答などを行うために支出する費用です。
交際費には、一定の制限があります。交際費の損金不算入とは、交際費の全額を経費として計上できないという制度です。
具体的には、下記のような制限があります。
資本金が1億円以下である法人 | 交際費の額のうち、年間800万円か50%のどちらかを選択 |
資本金が1億円超100億円以下である法人 | 交際費の額のうち、飲食等に要する費用の50%を超える部分 |
また、領収書をはじめ証拠書類が整備されているか、福利厚生費や広告宣伝費のなかに交際費が混ざっていないかなども確認します。
3.在庫の計上漏れがないか
税務調査では、在庫の計上漏れがないかをチェックするために、以下の点を確認します。
- 在庫の数量や金額が正確か
- 在庫評価方法が適切か
- 在庫減損処理が適正か
- 在庫の売却や廃棄などの取引記録が正しいか
- 在庫に関する証拠書類(在庫表や棚卸表など)が整備されているか
在庫の計上漏れがないかどうかを判断するためには、定期的な棚卸や在庫管理を行うことが必要です。
4.売上の計上漏れがないか
税務調査では、売上の計上漏れを確認するため、下記の点をチェックします。
- 売上の計上時期や金額が正しいか
- 売上に関する領収書をはじめ証拠書類が整備できているか
- 売上と関連する仕入や経費の取引が正しく記録できているか
- 売上と関連する帳簿が一致しているか
- 売上と関連する預金口座や電子マネーの入出金が一致しているか
特に、売上の計上時期は「期ズレ」を指摘されることがありますので、注意が必要です。
5.架空人件費がないか
税務調査では、架空人件費がないかを確認するため、下記の点を調査します。
- 人件費の支払時期や金額が正しいか
- 給与台帳や源泉徴収簿など証拠書類が整備できているか
- 社会保険料や福利厚生費が正しく記録できているか
- 人件費と関連する口座の入出金が一致しているか
- 人件費を受け取ったとされる従業員や役員の実在性や業務内容が確認できるか
人件費は、在籍確認をはじめ「実態」を調査します。調査当日に出勤してる従業員や役員の人数を確認することも珍しくありません。
まとめ:税務調査の立ち合いには経験豊富な税理士を選ぼう
税務調査は、国税庁が法人の税務状況を調べるために行うものです。
そのため、税務に詳しくない方が、税務のプロである調査官とやり取りをするのは、不利なことが多くあります。
税務調査が発生したら、顧問税理士に立ち合いを依頼することが重要です。
また顧問税理士がいない場合には、税務調査を見据えて経験豊富な税理士を選ぶことも必要でしょう。
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