香港英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(電子版)は11日、「欧州諸国で2度目のロックダウン(都市封鎖)が実施されるに伴い、中国の工場は海外からの注文に追いつくのに苦労している」と報じた。中国国営新華社通信系の参考消息が13日、その内容を要約して次のように伝えている。
世界中で消費されている商品を大量生産している中国の製造業者は、欧州と米国での新型コロナウイルスの再度の感染拡大と経済の混乱の中で、舌なめずりをしている。
中国がウイルスを比較的迅速に封じ込めたことにより、中国の工場は、ウイルスが全世界に広がるにつれて世界が必要とする電子製品、家電製品、家具、医療機器などの生産をタイムリーに再開できている。
欧州諸国で2度目のロックダウンが実施されるに伴い、中国の工場は海外からの注文に追いつくのに苦労している。2度目のロックダウンがもたらす繁栄は1度目ほど大きくはないかもしれない。人々が再び自宅にオフィス機器を設置する可能性は低く、2台目の家庭用ビデオプロジェクターの購入はぜいたくすぎるかもしれない。
しかし、中国各地の忙しい工場からは不平は漏れていない。
広東省でパン焼き器やコーヒーメーカーなどを生産しているある工場では、来年3月までの注文書であふれている。欧州と米国のバイヤーは、商品を確保するために80〜100%を前払いしなければならない。
同工場の幹部は、「今年1~9月の売上高は2019年通年の売上高を上回っている。来年の輸出についても非常に楽観的だ。これは意外だった。中国の輸出部門は少なくとも21年末までフル生産能力で稼働すると思う」と述べている。
ドイツの国際輸送物流会社、DHLによると、新型コロナウイルス感染者の新たな急増を封じ込めるため、ドイツ、フランス、スペイン、オランダ、ベルギー、オーストリア、アイルランド、英国、スウェーデン、チェコ、ポーランドは何らかの形でロックダウンを実施している。
米シンクタンク、外交問題評議会のエコノミスト、ブラッド・セッツァー氏は最近の簡易報告で、「現在は平時ではない。世界的な需要は、サービスから、医療キットや家電製品、ノートPCへとシフトしている。それらを大量生産する中国はその恩恵を受けている」と述べている。
香港から本土への境界を越えた広東省にあるケビン・ホアン氏の会社は、窓枠やグリルから包丁に至るまでの家庭用品を大量生産している。ホアン氏は、ブラックスワン的なイベントや貿易戦争による追加の関税を警戒しているが、彼のビジネスは活況を呈している。彼の当面の懸念は、西側諸国からの急増する需要にどのように対応するかだ。
ホアン氏によると、9月以降、受注は前年同期に比べて大幅に増加しており、10月受注分の出荷は早くても来年3月になるという。人手不足が業界を悩ませており、生産プロセス自動化の検討を余儀なくされている人も多い。
アナリストは、「2度目のロックダウンは中国の輸出業者にとって1度目ほど有利ではないかもしれない。だが、世界の多くの地域でオンラインショッピングが店頭での購入に取って代わるようになるため、クリスマスシーズンが近づくにつれてその恩恵を受けることになるだろう」とみている。
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