老舗中医薬店の同仁堂が養生コーヒーを売り出し、三頓半や永璞といった中国のインターネットコーヒーブランドが誕生し、凝ったインテリアでネットで話題のカフェが人気話題ランキングを独占する。最近はコーヒー界が非常に熱くなっている。中国新聞網が伝えた。
しかし熱いのはよその店の話で、閉店ラッシュに見舞われるコスタコーヒーや、このほど「過去最低」の四半期決算を発表したスターバックスには関係がない。
■老舗有名企業が絶不調、街角の小型店舗が「勝ち組」に
メディアの報道によると、中国で長年にわたる経営の実績がある英国老舗コーヒーブランドのコスタが今、大規模な閉店ラッシュに見舞われている。
状況が最も深刻なのは山東省青島市で、全店舗が閉店になった。次は北京市で、20店近くが閉店した。中国市場の総店舗数の10%以上が閉店したという。
コスタと同じ年に誕生し、中国に4000店以上を展開するスターバックスはそれほど不調にはみえないが、最新の決算をみるとコスタと似たような境遇にあるといえる。
スタバの2020年度第3四半期(3月30日-6月28日)の純売上高は42億ドルで前年同期比38.2%減少し、純損失は6億7800万ドルだった。一方で、前年同期は13億7000万ドルの黒字だった。
スタバとコスタは有名でコーヒー界で知らない人はいない。しかし口コミアプリのカフェランキングをみると、ベスト10に大型チェーンブランドの名前はなく、チェーンではない特色ある小規模のカフェが非常に人気が高いことがわかる。
「人々はチェーンのコーヒーブランドの美意識に疲れている。SNSに写真をアップしても浸透力も影響力もますます低下しており、言い換えればチェーン店は、『どこもみんな同じで、あんまりクールじゃない』ということだ」。ネットで人気のカフェの店長の韋さんはこのように話した上で、「小型店舗の優位性は店の個性を出すことにあり、コーヒー豆を自家焙煎でき、商品のオリジナリティーがより速やかに市場にマッチできる。大型店舗は小型店舗ほど素早く方向転換できない」と指摘した。
韋さんは、「同時に、コーヒーチェーンブランド全体で、スタバがトップを走り、他のブランドは同質化しながら後を追いかけていて、ブランド文化が明確に構築されているとはいえない」との見方を示した。
■コーヒーは次のミルクティーになるか?
「コーラ」のように若者に人気のミルクティーは、最近は「無双状態」で、1つの商業圏の中を歩くと、さまざまなブランドのミルクティー店が5~6軒あるというのがごく当たり前の情景になった。同じく街角で手に入り、気軽に飲むことができるコーヒーは、ミルクティーのように爆発的な人気が出るだろうか。
前瞻産業研究院が発表した「2020-2025年中国コーヒー産業市場ニーズ・投資計画分析報告」によると、中国のコーヒー消費の年平均増加率は15%に達しており、25年には市場規模が2171億元(約3兆3650億円)になると予想される。巨大な市場からわかるのは、コーヒーを飲む人が増え続けているが、どのようにして飲んでもらうか、ということだ。
ミルクティーのコストが低いのは目新しいことではない。業界関係者が以前に述べたところでは、「ミルクティー1杯あたりの純コストは大体2~3元(約31~46円)だ。これにカップとストローのコスト、家賃・水道代・電気代、人件費を平均して加算しても、一般的には1杯で5元(約77円)を超えることはない。しかし業界では低価格競争が激しく、大部分の店は通常1杯10元(約155円)前後に価格を設定し、8元(約124円)というところもある」という。
コーヒーは一見ハイグレードな感じがするが、コストはそれほど高くない。コスタで働いたことのあるバリスタは、「チェーンコーヒー企業には非常に大きな仕入れコストの優位性があり、コーヒー豆は輸入物、牛乳は生乳だとすると、カフェラテ1杯あたりの純コストは大体5~6元(約77~93円)に過ぎない」と説明した。
バリスタは続けて、「カフェの店舗は往々にしてミルクティー店より規模が大きく、その他の付加的コストもより多い。しかし価格設定はミルクティーに比べて大分高く、30元(約465円)で売るのも簡単で、全体として利益はミルクティーよりも多い」と話した。
客観的な利益と非常に大きなポテンシャルを秘めた市場に誘われて、その場で豆をひく挽き立てコーヒーブランドが次々に市場に参入している。カナダのコーヒーチェーンブランドのティムホートンズは騰訊(テンセント)からの単独投資が確定すると、「今後数年間で中国に1500カ所以上の店舗を開設したい」と抱負を語った、日本のネットで人気のコーヒーブランド「アラビカ(%Arabica)」も中国での展開のペースを加速させ、すでに20数店を開設している。
ミルクティーから発展したさまざまな新スタイルの茶飲料、たとえば喜茶、奈雪的茶、COCO都可なども、「味を求めて」やってきて、新しいコーヒー商品に挑戦し続けている。
前出の韋さんは、「カフェとミルクティー店は違う方向へ向かって進んでいる。よりハイグレードということだけでなく、カフェがもつ社交の場という属性は何物にも代えがたい。たとえば私がコーヒーを飲みに行こうとあなたを誘ったとする。カフェではしばらく着席することになり、明らかにミルクティー店よりきちんとした感じがする。未来の市場は細分化するだろうが、この分野で一心に市場を耕し続けさえすれば、どんな道でも必ず切り開くことができると確信する」と述べた。
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