中国では今や携帯電話を持っていれば、日常的な取引を行うことができ、モバイル決済は人々の生活を便利にしてくれている。しかし一方で、技術革新のペースは人々の想像の上を行く。支付宝(アリペイ)はこのほど新たな顔認証決済サービス「蜻蜓」を発表した。今後は外出の際に顔認証で料金を支払うことができる。顔認証の時代は本当に到来するのだろうか、モバイル決済と比べると安全なのだろうか。科技日報が伝えた。
優唯視股フン有限公司(フンはにんべんに分)の張少奎(ジャン・シャオクイ)副社長によると、顔認証決済はアップロードされた写真とカメラが撮影した写真が同一人物のものであるかを判断する。現在の技術の正解率は99%。支付宝の顔認証技術は地域特徴分析アルゴリズムを採用する。コンピュータの視覚を利用し動画の中から人の顔の特徴を抽出し、生物統計学の原理を利用し分析を行い、顔の特徴モデルと被験者の顔の特徴を分析する。分析結果に基づき相似値を導き出し、この値によって同一人物であるかを確認する。
■モバイル決済よりも安全
中国財政科学研究院応用経済学ポストドクターの盤和林(パン・ホーリン)氏は、「顔認証決済はパスワード決済よりも安全かつスムーズだ。ハードルがさらに下がるにつれ、顔認証決済は今後3年内に急成長するかもしれない」と話した。
顔認証決済の時代は本当に到来したのだろうか、普及に向け実現すべき問題はあるのだろうか。張氏は「指紋や虹彩などの生物的特徴と比べると、顔は相対的にプライバシーが不足している。金融分野で応用するならば、真偽を見分ける高い技術力が必要になる。これは最も克服しにくいが克服しなければならない問題だ」と指摘した。
未来の大規模応用について、張氏はセキュリティー技術を強化するべきと提案した。ディスプレー、写真撮影、動画を利用するといった攻撃手段があるが、そのすべてが実物の人間に似せようとする。しかしこれではその人の一部に似せるだけにとどまる。ディープラーニングアルゴリズム訓練モデルにより本人であるかを調べ、セキュリティの精度を上げることがとりわけ重要だ。
■受け入れられるか?
支付宝のスタッフによると、「蜻蜓」のデザインはデスクライトに似ており、「電球」の位置に本と同じサイズの顔認証ディスプレーがついている。レジに導入しその上に置くと、利用者はカメラの方を向くだけで直ちに顔認証決済ができる。
ところが張氏は、「蜻蜓」が受け入れられるかは未知数と考えており、「蜻蜓の3D構造光認証は安全性を高めると同時に、設備により高い条件を設定する。QRコードや2D顔認証と比べると、導入する店側のコスト負担が拡大し、大きなリスクを背負わなければならない」と述べた。
それに対して、業界関係専門家は、顔認証決済の方がモバイル決済よりも効率的で、安全性が高いと指摘。同専門家によると、昨年下半期の時点で、顔認証決済はケンタッキー、大型スーパー、ドラッグストアなどのオフラインの売り場に登場した。全国100都市以上が顔認証決済を試験的に開始している。しかし導入コストが少なく低リスクなモバイル決済と比べると、顔認証は設備やシステム改造などが必要であり、すべての店舗がこれを期待しているとは限らない。
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