地域防災の中核を担う消防団。少子高齢化が進み、その担い手不足は深刻さを増している。北海道地震や西日本豪雨など大規模な災害が相次ぐ中、全国消防操法大会に出場した団員からは若者のなり手不足や組織の高齢化を嘆く声が聞かれた。
総務省消防庁の調査結果によると、全国の消防団員の数は4月1日時点で84万3661人で、過去最少だった前年同期から6670人減った。
ポンプ車の部に出場した大野市消防団(福井)は50人の定員は満たしているものの、20代の団員は1人だけ。地域の体育大会など住民が集まる場で勧誘しても、若者は思うように入ってくれないという。齋藤長治分団長(56)は「下が入ってこないとこれから先が大変」とこぼした。
「職場の理解が必要」と話すのは荻窪消防団(東京)の藤崎健一副分団長(50)。消防庁によると、近年は団員のうち会社員が7割を占めるようになったが、訓練や研修、季節の行事など消防団の活動をするには周囲の理解が欠かせないという。同団の人数は現在約35人と、定員の55人を大きく下回っている。20代は1人もおらず「方法を模索しているが、自ら入ってくる人は少ない」という。
担い手不足を補おうと女性団員の募集に力を入れるところもあった。北杜市消防団(山梨)は昨年4月から女性の募集を始めたところ、17人の応募があったという。消防庁によると、全国の団員のうち女性は2万5962人と過去最多を更新した。中山盛夫団長は「自分たちの地域は自分たちで守ろうという気持ちが大事。今後もイベントでPRし、女性団員の募集を進めたい」と話した。
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