2020年に新型コロナウイルス感染症が流行してから、大きな損害を被った事業は数多くあると思われます。そして、コロナの影響によって開始された、コロナ融資と呼ばれる「政府系金融機関」や「民間金融機関」による支援制度は、種々の事業者の補助となりました。
その後、コロナ融資が開始されてから約2年が経過した現在、融資による借り入れ資金の返済が開始されています。
本記事では、コロナ融資の返済に向けて、どのように対処すれば良いのかを解説をしていきます。
※この記事は現役税理士の山口由美子監修のもと作成しております。
コロナ融資の返済が開始
コロナ融資の返済がいよいよ開始されるわけですが、まずは次の2項目について解説します。
- コロナに関係する融資制度とは?
- コロナ融資の返済について
これらを詳しく見ていきましょう。
コロナに関係する融資制度とは?
コロナに関する融資制度は、コロナで影響を受けた事業者への支援制度です。
新型コロナウイルスによる事業への影響は多大なものとなり、中には、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の発令によって、経営破綻に陥った事業者もいます。
そこで、新型コロナウイルスの影響により経営が悪化した事業に対して、コロナに関係する融資制度である「政府系金融機関」や「民間金融機関」による支援が開始されたのです。
コロナ融資の返済について
新型コロナウイルスにより開始されたコロナ融資は、2020年3〜4月頃から約1年間にかけて多くの利用がありました。
元金返済据置期間として、約1〜3年を選定する企業が多かったようです。つまり約2年経った現在、元金据置期間の終了に伴い返済が開始されている事業があるのです。
コロナ融資はどのように使われているのか?
そもそもコロナ融資はどのように使われているのでしょうか。
帝国データバンクによると、コロナ融資に関する現在の状況と今後の方針について企業に対して調査を行ったところ、コロナ融資を借りた企業は52.6%と半数にも及びます。
コロナ融資の活用法によっては、現在までの経営の延命に過ぎず、今後の返済が困難となり得るケースがあるのです。実際にコロナ融資は次のような使い道がされていました。
- 人件費
- 原材料・商品の仕入れ
- 設備の修繕・更新
これらを詳しく見ていきましょう。
人件費
コロナ融資の使い道として、最も多く充てられていたのは人件費 (50.1%) です。
新型コロナウイルスの流行によって、人々の活動はかなり制限され、利益を生み出すことが困難となった企業が多くあります。
しかし、人件費などの固定費は同じようにかかるため、借り入れたコロナ融資をそちらに回さざるを得ない状況になっていました。
原材料・商品の仕入れ
2番目に多く充てられていたのは、原材料・商品の仕入れ (43.4%) です。
世界的な経済活動の低迷により、原材料は高騰し、新型コロナウイルスの流行以前より多くのコストがかかっている原材料・商品があります。
また、上記に述べたような人件費の確保により、原材料や商品の仕入れ値が間接的に高騰する原因になっているのです。
設備の修繕・更新
3番目に多く充てられていたのは、設備の修繕・更新 (25.3%) です。
こちらも人件費と同様に固定費に含まれ、定常的に支払わなければならないものです。コロナ禍である場合のこうした費用は、企業にとって多大な打撃を与えることになります。
他にも家賃や地代などがあります。いずれにせよ経営の延命に過ぎず、返済が厳しいと感じる企業は多く存在するでしょう。
コロナ融資の返済への対処法は?
では、今後始まるコロナ融資についてどのように対処すれば良いのでしょうか。
具体的な対処法として次の3つが挙げられます。
- 返済金額の確認
- 返済のプランニング・検討
- 借り換え可否
これらを詳しく見ていきましょう。
返済金額の確認
まず初めにやるべきこととして、コロナ融資で借り入れた返済金額の確認を必ずしましょう。
当たり前ですが、返済は常に続けなければなりません。対策を怠ってしまうと最悪の場合、資金が不足してしまいます。そのため「コロナ融資の返済開始日」「会社としての毎月の返済額」を事前に把握しておきましょう。
返済のプランニング・検討
借り入れた返済金額を確認した上で次に行うこととしては、返済のプランニング(計画) 及び検討です。現在の企業利益で、恒常的に発生する返済額を賄えるのかどうかを確認しておかなければなりません。
会社全体の利益が、返済額を上回っているのであれば基本的に問題はありません。なお、その状態を保っておかなければならないため、常に賄えるかどうかの確認を怠らないでください。
しかし、会社全体の利益が、返済額を下回っているのであれば、資金不足に陥ってしまうのは明確です。そのような事業者は次のような施策を行いましょう。
支出の削減
会社の利益を生み出すために最も適した方法として挙げられるのが支出の削減です。現在の支出を確認し、冗費になっているコストを削りましょう。ただし、事業の継続に必要不可欠であるコストは維持するように気をつけてください。
収入の増強
上記に述べたような支出の削減は一時的な効果が見込まれますが、長期的な利益の確保をするために収入の増強を行わなければなりません。
業種形態にもよるため、様々な方法が考えられますので適切な処置を施してください。いずれにせよ収入の増強は、すぐに見込まれるものではないため、長い積み重ねを行わなければならない点に注意してください。
借り換えの可否
支出の削減・収入の増強を行っても、なお返済額を上回ることが困難となるケースが多々あるかと思います。そんなときは借り換えを行いましょう。融資における借り換えとは、別の金融機関からの融資によって、現在の借入先の返済を行うことを指します。
借り換えを行うことにより、返済負担額が軽減される可能性があります。
もちろん、金融機関次第では返済額がさらに増えてしまう可能性もありますので、必ず銀行と相談した上で検討してください。
コロナ融資の返済が難しい場合は?
どうしてもコロナ融資の返済が不可能である場合もあるでしょう。そんなときは次のような処置を取らざるを得ません。
- 返済のリスケ
- 返済条件の見直し
これらを詳しく解説していきます。
返済のリスケ
一つ目は、返済のリスケです。リスケとはリスケジュールの略であり、今回の場合は金融機関側に据置期間の延長を依頼することを指します。
返済不可能と判断した段階で、速やかに返済のリスケすることをおすすめします。返済できないまま、滞納をすることは絶対にしてはなりません。下手をすれば差し押さえられてしまう可能性があるからです。
さらに、据置期間の延長が速やかに認められるかどうかはわかりませんので、迅速に要請を行うようにしてください。
返済条件の見直し
もし、返済のリスケを行い据置期間の延長が認められたとしても、返済義務があることに変わりはありません。
延長をしても、なお返済が難しいと判断をしたならば、返済条件の見直しを行いましょう。借り入れた金融機関と返済額を見直して返済額を切り詰められる可能性があります。
しかし、デメリットとして返済のリスケや返済条件の見直しを行った場合、追加で受ける融資は困難となります。
何はともあれ、こちらもまずは金融機関へ相談してみましょう。
まとめ
本記事では、コロナ融資の返済が開始したこと、そしてその具体的な対処法を解説しました。
返済が開始される事業者は、まず第一に返済金額を把握した上で返済が可能であるか否かを判断しましょう。そして困難である場合は、まず金融機関に掛け合ってみることをおすすめします。
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