会計ソフトに取引を入力する際、正しい消費税区分を選ぶ必要があります。租税公課は比較的消費税区分がわかりやすい取引ですが、一部例外があるため、正しい税区分について事前に知っておくと安心です。
本記事では会計ソフトの入力時に押さえたい、租税公課の消費税区分について解説します。
※この記事は現役税理士の木住野祐希監修のもと作成しております。
租税公課の消費税区分は「不課税」。ただし例外アリ
租税公課の消費税区分は原則として「不課税」です。しかし一部の取引は例外として、消費税区分が「非課税」になります。詳しく解説します。
消費税区分「不課税」とは
「不課税」とは、消費税の対象外となる取引に使う消費税区分です。「消費税対象外」とも表現できます。
そもそも消費税とは、以下4つの要件すべてを満たす取引に課される税金です。
- 国内で行われる取引
- 事業として行う取引
- 対価を得て行う取引
- 資産の譲渡、貸付け又は役務の提供に該当する取引
租税公課は、上記の条件を満たさない取引が多く存在します。主な例は以下のとおりです。
- 事業税
- 固定資産税
- 登録免許税
- 自動車税
- 都市計画税
これらは税金であり、事業として行う取引に該当しません。したがって消費税区分は、消費税の対象外を意味する不課税を用います。
また、租税公課以外にも、海外での取引や無償の寄付・贈与なども、不課税に該当する取引です。
消費税区分「非課税」とは
租税公課の消費税区分は多くの場合に「不課税」となりますが、一部例外として「非課税」に該当します。
消費税区分「非課税」は、消費税の課税対象となる4つの要件を満たしているものの、消費税の課税対象外になる取引に用いる消費税区分です。以下に当てはまる取引は消費税非課税となります。
- 消費税の課税対象になじまないもの:住民票や戸籍抄本等の行政手数料、外国為替、土地の譲渡や貸付けなど
- 社会政策的な配慮に基づくもの:一定の学校関連費用(授業料、入学金、入学検定料、施設設備費など)、社会保険医療、介護保険サービス・社会福祉事業など
消費税非課税となる取引は、国税庁の公式サイト(非課税となる取引)で明確に記載されています。
租税公課で消費税区分が「非課税」になる取引
租税公課に該当する取引のうち、消費税区分が「非課税」に該当する代表例を紹介します。
- 収入印紙:非課税となる租税公課の代表例です。国税庁の公式サイトで「特定の場所で行う郵便切手、印紙などの譲渡」は非課税取引と明記されています
- 行政手数料、外国為替取引の手数料:登記簿謄本の発行手数料や、海外送金手数料なども、消費税区分は非課税です
会計ソフトで租税公課の税区分を誤るとどうなる?
租税公課に該当する取引は、いずれも消費税が発生しません。しかし消費税区分という意味では、取引によって異なるケースがあります。では、会計ソフトで租税公課の消費税区分を誤ってしまうとどうなるのでしょうか。
もし租税公課の消費税区分で、非課税と不課税と誤って設定しても、特に影響はありません。仮に「非課税」に該当する収入印紙の購入代を「不課税(対象外)」で設定しても、消費税の集計・計算は正しく行われます。
税法上は不課税取引と非課税取引が区別されているものの、租税公課の消費税区分を設定する際は、どちらを使っても特に問題ないのです。正しい知識として不課税取引・非課税取引の違いを押さえておくのが好ましくはありますが、実務上は租税公課をすべて消費税区分「不課税(対象外)」で設定しているケースも珍しくありません。
なので、会計ソフトで入力する際は正しい知識を反映させるだけでなく、実務における効率の追求や、これまでの入力方法に合わせることも大切です。
まとめ
租税公課の消費税区分は多くの場合に「不課税(対象外)」です。しかし収入印紙や行政手数料など、「非課税」に該当する取引も存在します。租税公課の消費税区分について正しく理解するためには、両者の区別をしっかりつけることが大切です。
ただし、会計ソフトに入力する際は、「不課税」「非課税」どちらを利用しても消費税の集計・計算に影響を与えません。消費税区分について知識として理解しながらも、実務的なやり方についても押さえることが大切です。
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