調査当日について
当日、税務調査官に対して必要以上に媚びる必要もありませんし、もちろん税務調査官を敵視する必要はありません。
通常の取引先と接するように、税務調査官も自らの仕事を行うために会社に来るわけですから、通常の対応をすれば大丈夫です。
調査官の身分証明書を必ず確かめましょう
税務調査官は税法で、税務調査を行うときには身分証明書を携帯し、調査先などで求められれば提示しなければならないと義務付けられています。
まずは、税務調査に際しては調査官の身分証明書の提示を受け、身分を確認することからスタートしましょう。
一般の税務調査では前もって連絡が入りますが、特に無予告調査のときについては、しっかりと身分証明書を確認することが重要です。
どのような用件で、何の調査なのかを確かめる
税務調査には大きく分けると3つの目的があります。
税務調査を行う際には、調査官はどのような目的による調査で来ているのかを示す必要があります。
① 更正や決定などの課税処分を行うことを目的とする場合。
更生:税務署長が職権で申告所得額や税額の修正をすること
決定:申告がない場合に所得額や税額を決めること
② すでに確定している税金について滞納があった場合の徴税を目的とする場合
③ 国税犯則取締法によって定められている犯則事件の資料を集めることを目的とする場合
税務調査が入った際には、具体的な調査内容の説明をまず受けてから調査に入ってもらうことです。
会話での注意など
簡単な挨拶から調査がスタートし、続いて会社概要の説明などを求められるのが一般的です。
ここではいつも経営者同士で話している内容を話すといいでしょう。とはいっても、相手が調査官となるとやはり緊張してしまいます。
あらかじめどういったことを話すのか考えておくのも一つの手かと思います。
ある程度経験を積んでいる調査官となると、最初の挨拶から会社概要の説明の段階で、経営者の人間性や会社の雰囲気などいろんな部分を認識していきます。調査の話には一切触れていないように思えても、調査官は調査内容を念頭に置いて調査に来ています。
そのため、営業方法や事業推移などを伺いながらも自分が目的とする調査目標に向けて話を繋げていきます。
会社概要の説明の時に注意するポイントは
つじつまが合うように話を進める。
調子に乗って話をしないこと。
同業者の批判・噂話はしない
といった点です。
調査官は話を誘導させることに長けているので、何気ない雑談だと思っていても、知らぬ間に都合の悪い話、自社の聞かれては困る話になっていることに気づきます。
そのような話にならないようにするには、まずはベラベラ自分から話過ぎないことです。出来るだけ質問されたことに対してだけ素直に答え、自社の自慢話や同業他社の噂や批判などは避けることが望ましいです。どういったところから自社に不利な会話になるかわかりません。
答えにくい質問は即答しないこと。
調査官からさまざまな質問を受けることになりますが、すべてを即答できるとは限りません。
その場合に憶測で即答することはしないようにしましょう。
一つ一つの質問に対して帳簿や契約書の確認をして回答していてはいつまでたっても調査は終わりません。
そのような確認が必要となる質問は、メモ書きをしておき、内容がわかる経理担当者や税理士と確認できるときに打合せをするなどをして、あとでまとめて答えるようにするのが理想です。
また、もしその日中に答えることが出来ないような時は、後日文書などで回答することも可能なのです。
調査はどのようにして行われるか?
申告ミスや申告漏れを指摘するために、調査官はミスを見逃さないよう様々な調査手法を用いてきます。
例えば、帳簿や明細表などの計算が正しいかどうかを再計算してチェックしたり、帳簿をお互いに突き合わせて正しい申告であったかを確かめます。
また比較分析といって、調べようとする項目(数字)について前期と当期あるいは予想値と比較することで異常値を洗い出し、さらに帳簿と領収書などの証憑類を突き合わせることで事実確認を行い、整合性をはかります。
そのほかには以下のようなものがあります。
現場調査で結論は出ません。
税務調査が行われている間、問題点があれば、その都度指摘されます。
しかし、調査官は、その場では自分の意見を表明したり、結論を示すことはしません。
調査経過を税務署に持ち帰ります。
調査官は、その日の調査経過を上司である統括官に報告し、問題となる事項については指示を受けて検討に入ります。
そして統括調査官の指示により調査範囲を広げたりまたは新たに調査項目を増やしたりします。
調査の終了
税務調査ではいくつか問題点が指摘されます。
それらをすべて受け入れると調査が終了するといわれていますが、受け入れずに長く対立していると解決し終了することができません。
場合によっては一部を認めるという一種の妥協を行い、調査を終了に導くことも必要となることがあります。
そのあたりの解決策については税理士と相談しながら決めることをおすすめします。